S&Pグローバルの調査によると、2019〜23年に世界で発見された新たな銅鉱床はわずか4カ所で、合計で約420万トン分の銅にしかならない。大規模で高品位の銅鉱床はますます希少になっており、発見されても生産開始までにこれまで以上に長い時間がかかる。
米アリゾナ州で進められている100億ドル(約1兆5600億円)規模の「レゾリューション」銅開発プロジェクトが一例だ。現在の生産開始目標は2030年で、発見から最初の精錬までに35年を要する見通しとなっている。
主要な成長トレンドはどれも「銅集約」的
40年以上にわたり資本市場を見てきたなかでも、現在の銅価格上昇を支えるファンダメンタルズ(基礎的条件)はこれまでで最も盤石と言えるほど強い。AI、再生可能エネルギー、電気自動車(EV)、電力網の現代化など、世界の成長を牽引している主要なトレンドはどれも大量の銅を必要としている。
AIデータセンターが従来型データセンター3カ所分の銅を消費し、複数の銀行が銅価格の1万2000ドル超えを予想し、IEAが30%の供給不足を警告するとなると、さすがに注意を払うべきだろう。
過去の銅サイクルの際にも言ってきたことだが、価格の行き先を見通すための“望遠鏡”が必要かもしれない。今回のサイクルでは、すでに逼迫している市場にAIがさらに拍車をかけることになるので、その望遠鏡ではこれまで以上に遠くまで目を凝らす必要がありそうだ。


