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2025.12.11 17:00

スペースX元社員、「音速の5倍」で飛行する極超音速ミサイルを開発 大手寡占の市場で急成長の理由

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創業メンバーらは、カステリオンのミサイルは同等の射程や性能を持つ既存兵器に比べて10分の1のコストで製造でき、1発あたりの費用を数百万ドルから数十万ドルに抑えられると主張している。今年に入り、同社は50発以上のミサイルを生産しており、10月には初の兵器である「ブラックビアード(Blackbeard)」を米陸軍・海軍の兵器システムに統合して性能試験を行う契約を獲得した。同社によれば、ブラックビアードの開発には約1年半を要し、2027年までの完全配備を見込んでいるという。

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ただ、カステリオンの顧客は依然として政府に限られ、数十年の歴史を持つ既存メーカーがすぐに市場から撤退するわけではない。それでも、ライトスピード・ベンチャー・パートナーズのパートナーであるコナー・ラブは、同社が今後数年間で米国政府の極超音速ミサイル開発予算から数十億ドル規模の契約を獲得する可能性は十分にあると指摘する。来年度だけでも、関連予算は100億ドル(約1兆5600億円)に達する見込みだ。「主要メーカーは、今後5~10年の間に数千発の極超音速ミサイルを供給できる段階にはない」とラブは語る。

しかし、カステリオンには長い道のりが残されている。政府契約は通常、計画契約、実証契約、生産契約の順に進む。ハーギスによれば、同社は現在第二フェーズにあり、生産契約には至っていない。数千発規模の量産開始には程遠い状況だ。12月5日に発表されたラウンドで調達した資金は、ブラックビアードのテストや、ニューメキシコ州に新設される製造施設の建設費に充てられる予定である。この施設は来年後半に完成予定で、年間1000発以上のミサイル生産能力を備えるという。ハーギスは、カステリオン製の低コストミサイルが、納税者にとってもより大きな価値をもたらすことを期待している。

ハーギスにとって、このミッションは数字以上に大きな意味を持つ。「私には幼い子供が二人おり、彼らには戦争を経験させたくない。これが私なりの子供たちへの責任の果たし方だ」と彼は語った。

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forbes.com 原文

編集=朝香実

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