「トロッコ問題」は何十年もの間、究極の状況で自分ならどう行動するかを必要以上に深く考えるよう促してきた。トロッコ問題とは次のようなものだ。
「トロッコが線路上を暴走し、5人の人間に向かっている。5人には逃げる時間がない。あなたはそのトロッコを別の線路にそらすことができるレバーのそばに立っている。だが、その別の線路には人が1人立っている。あなたが何もしなければ5人が死ぬ。レバーを引けば1人が死ぬ」。
この思考実験は人間の道徳性、あるいは道徳的な観点から相反する選択肢のどちらを取るかを評価・測定・議論するために用いられてきた。哲学入門講義の定番であり、心理学研究でも扱われ、友人同士で深夜に繰り広げる倫理の議論にも登場する。実際、あなたもこれまでに自信を持って何らかの答えを出したことがあるかもしれない。
だが、トロッコ問題が仮定ではなくなった時、何が起きるだろうか。目の前に本当に人が立ち、その人の苦痛が天秤にかけられた時、何が起きるだろうか。最近の研究によると、その答えはあなたが予想するものとは異なる。



