アジア

2025.12.11 09:30

中国がシェールガス開発を推進 推定資源量は世界最大

中国・四川省南部のシェールガス掘削現場(Getty Images)

中国・四川省南部のシェールガス掘削現場(Getty Images)

中国は現在、石油と天然ガスの世界最大の輸入国だが、あらゆる点でこの状況に満足していない。電気自動車(EV)産業の急成長によって石油需要が減る可能性がある一方、天然ガスには別の解決策が存在する。

米エネルギー情報局(EIA)は2015年、中国が世界最大のシェールガス資源量を保有しているとの推計を発表した。2000年代初頭に「シェール革命」が始まり、わずか10年で天然ガスの主要輸入国から世界最大の輸出国へと変貌を遂げた米国のシェールガスの推定資源量は18兆立方メートルだ。中国の推定資源量は、そのほぼ2倍に相当する32兆立方メートルに上る。同国の資源規模は確認されており、年間生産量は米国の基準からすると少ないものの、過去10年間で毎年20%以上と目覚ましい伸びを示している。

中国政府は2010年代初頭に国内のシェールガス開発計画を開始した際、米国と同様の変革を期待していた。だが、地質学的な要因などがこれを阻んできた。

中国のシェールガス開発は、英シェル、英BP、米チェサピーク・エナジーといったエネルギー企業が欧米の知識と技術の導入を支援したことから始まった。合弁事業や米国での掘削活動に従事する企業への投資を通じて、中国石油化工(シノペック)や中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)などの中国国営石油企業は、貴重な専門知識を得た。2010~16年にかけて、中国で複数のガス田が開発され、より大規模な探査計画の基盤が築かれた。個々のシェール層に関する研究と最新技術の導入が、この進歩の重要な要素だった。中国が経済覇権を巡る世界的な競争に勝利するならば、シェールガスは国内のエネルギー市場で重要な役割を果たすことになるだろう。

中国と米国のシェールガスの違い

地質学によれば、2つのシェール層が同じであることは決してない。特に中国の場合、ノースダコタ州のバッケンシェールやテキサス州パーミアン盆地のウルフキャンプシェールといった米国のシェール層と比較すると、この傾向が顕著に現れる。中国南部の四川盆地に存在する最高品質のシェールガス層は、米国の層より薄く、古く、深く、多くの断層や破砕を伴っている。これにより、坑井(こうせい)の掘削には多くの時間と費用がかかる。シェールガスの採掘に用いられる水圧破砕法(フラッキング)で使用される技術の改良が必要となることもある。さらに、中国の一部乾燥地域にある地質盆地では、水圧破砕に必要な大量の水供給が課題となっている。たとえ全てが順調に進み、予期せぬ事態が起きなかったとしても、時間経過に伴うガスの総回収量は米国の平均的な坑井より少ない。

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翻訳・編集=安藤清香

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