食&酒

2025.12.12 15:15

どのガチ中華がいちばん辛いか。四川と湖南と雲南の料理を食べ比べてみた

「四川と湖南と雲南の辛さを食べ比べする食事会」で使われた色鮮やかな中国のさまざまな唐辛子や山椒。料理によって使い分ける

〈まず現在の「東京ディープチャイナ」が現れるまでの歴史的経緯から考えてみたい。それは日本にやってきた中国語圏の人たちの複数世代によって支えられているが、その源流は第一世代に遡る。

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第一世代は、1980年代後半以降に出国した「新華僑」と呼ばれる、現在50代から60代の中国出身の人たちだ。日本での在住人口が多い遼寧省や吉林省、黒龍江省といった東北三省や南方の福建省の出身者が多い。

第一世代の店は、いまでもいちばん数が多いが、このところ話題となるガチ中華の店を供しているのは、むしろ2000年代や2010年代の来日組、すなわち現在40代や30代の第二、第三の世代が目立つ。

これまで日本になかった珍しい地方料理の店や新種のサービスが生まれているのは、中国経済の発展にともない成長した彼らの、それぞれ進取の気性を持った出身地もタイプも異なるオーナーたちが現れたことによるものだ〉

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つまり、今回の辛さの食べ比べ食事会は、ガチ中華の第2世代と第3世代のコラボ企画だったのである。2人は今年8月から始まり、すでに4回開催された、陳龐湧さんと梁宝璋さんという第一世代の最強コンビによる「陳家私菜×味坊集団コラボ宴会」の盛況ぶりを見て、彼らの胸を借りる思いでタッグを組んだのだった。

両店の料理人とオーナーが各料理を解説する。左から張永富さん(雲南料理)、劉超さん(四川料理)、李澤紅さん(湖南料理)、劉振軒さん、牟明輝さん
両店の料理人とオーナーが各料理を解説する。左から張永富さん(雲南料理)、劉超さん(四川料理)、李澤紅さん(湖南料理)、劉振軒さん、牟明輝さん

この劉振軒さんと牟明輝さんを見ていると、筆者はついつい応援したくなる。まだ多くの日本人にとって未知なる味覚である湖南料理や雲南料理の世界を、彼ら第二、第三の世代がもたらしてくれたわけだから。

第一世代のオーナーたちと同世代である筆者だからこそ、若い彼らがこれからどんな新しいガチ中華を供してくれるのか、2人の活躍をもっと見たいと思ってしまうのだ。

12月上旬、第2回目の「辛さの食べ比べ食事会」が、今度は池袋にある牟明輝さんの「ムーさんの蒸鍋館」で開催された。メニューの中身は前回とは異なり、さらに刺激的なガチ中華の饗宴となった。

今後も劉振軒さんと牟明輝さんは趣向を凝らした新しい内容で、コラボ企画を続けていくそうだ。楽しみにしたい。

文=中村正人 写真=中村正人、堀田ナホ

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