食&酒

2025.12.12 15:15

どのガチ中華がいちばん辛いか。四川と湖南と雲南の料理を食べ比べてみた

「四川と湖南と雲南の辛さを食べ比べする食事会」で使われた色鮮やかな中国のさまざまな唐辛子や山椒。料理によって使い分ける

「四川と湖南と雲南の辛さを食べ比べする食事会」で使われた色鮮やかな中国のさまざまな唐辛子や山椒。料理によって使い分ける

「ガチ中華ってすごく辛いんでしょう?」

筆者はよくそのように聞かれるが、実際にはガチ中華の辛さはさまざまだ。中国は広く、地方によって辛さの中身もずいぶん違うのである。

10月下旬、筆者が代表を務める東京ディープチャイナ研究会(TDC)は、その違いを実際に舌で味わおうと、次のような食事会を企画した。

会場の「拾味(SHIWEI)」は池袋や上野に続いてガチ中華の激戦区として注目されるJR高田馬場駅からほど近い場所にある
会場の「拾味(SHIWEI)」は池袋や上野に続いてガチ中華の激戦区として注目されるJR高田馬場駅からほど近い場所にある

題して「四川と湖南と雲南の辛さを食べ比べする食事会in拾味(高田馬場)」だ。

いちばん辛かったのは湖南料理

東京の高田馬場にあるガチ中華店「拾味(SHIWEI)」で開催されたこの食事会は、四川省と湖南省、雲南省の料理を食べ比べするというもので、メニューは次のようなものだった。

●前菜
ピータンの青唐辛子和え(擂辣椒皮蛋)湖南料理
揚げナッツの黒酢和え(老醋花生)四川料理
焼きナスの麻辣和え(鮮椒茄子)四川料理
海鮮ミックス旨辛ソース漬け(撈汁海鮮)四川料理
雲南風レモンチキン(手撕檸檬鶏)雲南料理
牛肉のミント風味スライス(薄荷牛肉)雲南料理

●温かい料理
魚の頭の発酵唐辛子蒸し(剁椒魚頭)湖南料理
自家製押し豆腐と青唐辛子炒め(青椒香干)湖南料理
牛ハツモトの強火激辛炒め(火爆黄喉)四川料理
オクラとマコモダケの醤油風味炒め(干鍋秋葵)四川料理
雲南風マッシュポテト(老奶洋芋)雲南料理
発酵トマトの酸辣牛肉煮込み(酸湯牛肉)雲南料理
雲南産キノコとチキン蒸気スープ(山珍汽鍋鶏)雲南料理

●主食
焼き唐辛子とトマトと焼き豚のミックス混ぜライスヌードル(焼椒米線)雲南料理

これらの料理を提供してくれたのは、劉振軒(りゅう・しんけん)さんと牟明輝(む・めいき)さんという2人のガチ中華のオーナーである。

今回の食事会を企画した劉振軒さんと牟明輝さんの2人はそれぞれ30代と40代のガチ中華オーナー
今回の食事会を企画した劉振軒さんと牟明輝さんの2人はそれぞれ30代と40代のガチ中華オーナー

1987年生まれの劉振軒さんは、中国の湖南省南東部に位置する郴州市の出身で、2008年に来日。現在30代の若さだが、今回の食事会が開かれた「拾味」ほか、「李厨」「湘遇」「炉火江湖」「湘小小」などの湖南料理や四川料理を供する店を、高田馬場や上野、池袋、大阪などで約10店舗経営しているガチ中華界の若手筆頭格だ。

一方、40代で先輩格の牟明輝さんは、遼寧省大連出身。「食彩雲南」や「ムーさんの蒸鍋館」、ハラール中華の店「ハラールキッチン(清真小厨)」、そして中国家庭料理の「南方急行」などの新ジャンルの店を都内に出店している。

供された料理は、彼らの店で厨房に立つ雲南料理の張永富(ちょう・えいふ)さん、四川料理の劉超(りゅう・ちょう)さん、湖南料理の李澤紅(り・たくこう)さんの腕ききシェフ3人が担当した。

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文=中村正人 写真=中村正人、堀田ナホ

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