━━エコジアの売却権や、配当を受け取る権利を放棄しているが、その真意は。
クロル:私は、過度な富が幸せのカギだとは思っていませんし、気候危機に向き合うべきこの世界で、過剰な消費がふさわしいとも考えていません。エコジアは、すべての株式に譲渡制限に関する規定があり、株主が第三者に株式を譲渡する際に会社の承認が必要になる「株式譲渡制限会社」という形態を選びました。2018年には私自身、エコジアを売却したり、配当を受け取ったりする法的な権利をすべて放棄しました。その結果、エコジアは100%地球のために存在する会社として機能するようになりました。
━━AI Searchに関して、既存検索エンジンのそれと比べてどこが一番違うのか。
クロル:AIは私たちの情報検索の仕方を大きく変えつつありますが、地球に負担をかけずに行うこともできます。多くのAIツールと違い、エコジアの技術はエネルギー効率が良いだけでなく、消費エネルギー以上の再生可能エネルギーを生み出し、電力網から化石燃料を置き換える助けにもなっています。
私たちは「テクノロジーは責任ある進化ができる」ことを示したいのです。人びとがより適切な答えや情報にたどり着けるようにしながら、よりクリーンで公平な未来づくりにも積極的に貢献するような姿を目指しています。

━━エコジア創業のきっかけは。
クロル:何年も前、旅をしていたときに深刻な社会格差や大規模な森林破壊の現場を目の当たりにしたことが、エコジアのアイデアのきっかけになりました。ベルリンに戻り、植林を中心に据えた倫理的なビジネスを立ち上げることにしたのです。木を植えることは気候危機だけでなく、社会的不平等の解消にもつながると確信していました。
━━他言語に比して「日本語版」リリースならではの言語面での苦労や課題はあったか。日本語ネイティブのエンジニアは登用したか。
クロル:私たちの検索技術はもともと多くの言語に対応できる設計になっているので、日本語版の提供にあたっても、ユーザーの皆さんにできる限りよい体験を届けるための細かな調整が必要なだけでした。ただ、日本語表現の正確さを担保するために、外部の日本語ネイティブの方に相談はしました。


