北米

2025.12.10 10:00

米CDCのワクチン情報サイトが機能停止 感染症対策の司令塔、信頼性揺らぐ

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Vaccines.govやCDCの情報はもはや信頼できないのか?

繰り返しになるが、Vaccines.govがいつ、どのような情報で更新されるのかは不明だ。これはドナルド・トランプ政権の再登場後、CDCや保健福祉省のウェブサイトが大幅に改変された最新の事例にすぎない。ほかの例を挙げれば、かつて米政府の新型コロナに関するウェブサイトだったアドレスを入力すると、「Lab Leak(研究所からの流出)」という大きな文字を背景にトランプが歩き出す写真を掲げたホワイトハウスの特設ページにリダイレクトされる。このページは何も、トランプその人が研究所の類いから流出してきた存在だと言っているのではない。そうではなく、新型コロナウイルスは研究所起源だという主張を展開している。これまでの科学的証拠では、新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)は動物からヒトへウイルスが自然に跳躍した結果、起こった可能性が高いことが示唆されているにもかかわらず、だ。

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別の極端な改変例として「Autism and Vaccines(自閉症とワクチン)」というCDCの新たなウェブページがあり、そこには科学的根拠を欠くあらゆる主張が記されている。ほかにもCDCや保健福祉省のさまざまなウェブサイトで、もっと細かく目立ちにくい変更が加えられており、どのような情報が追加され、あるいは削除されたのかを追跡するのはだんだんと難しくなっている。

こうしたもろもろの変化はより大きな疑問を呼び起こす。今後、CDCのウェブサイトははたして信頼してよいものなのか、と。ペンシルベニア大学アネンバーグ公共政策センターが2025年11月21〜24日、米国の成人1006人を対象に実施したオンライン調査では、ワクチンの安全性に関する勧告がCDCと米国医師会(AMA)で食い違った場合、AMAの勧告に従うと答えた人の割合がCDCの2倍以上にのぼった(35%対16%)。この傾向は65歳以上ではさらに強まり、AMAに従うという回答が50%、CDCは13%にとどまっている。一方、最も若い年齢層(18〜29歳)では逆転し、AMAに従うと答えた人が19%、CDCが24%という結果になっている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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