Vaccines.govのページには現在、情報という情報がまったくないに等しい。検索ツールの説明には「vaccine(ワクチン)」という言葉さえない。ただ「近くの薬局を探す」とだけ書かれている。繰り返しになるが、このツールはまともに機能しなくなっている。つまり、このウェブサイトには現時点で情報も機能もほとんどなくなっている。「ワクチン」という単語が含まれるのはウェブサイト名ぐらいだ。
CDCはVaccines.govの変更に際して明確な発表もしなかった
筆者の知る限り、これらはすべてはっきりとした発表なく行われた。プレスリリースは出ていない。米保健福祉省を率いるロバート・F・ケネディ・ジュニア長官、あるいは現在CDCを実質的に指揮している誰かによる記者会見も開かれていない。CDCの所長代行には同省のジム・オニール副長官が就いているが、彼はこの件に限らず、公の場でほとんど発言をしていない。そもそもオニールのバックグラウンドは公衆衛生ではなく金融や政策であり、医学や科学の学位は保持していない。
「cat-bounce.com」のようなウェブサイトのコンテンツや機能を変更するのとは訳が違う。cat-bounce.comとはその名のとおり、猫が跳ねている画像を表示するサイトだ。猫があちこちに跳ね回る姿を拝めないと1日がニャンだか物足りない、という人はいるのかもしれない。とはいえ、猫画像が見られなかったからといって、健康や、重い病気にかかるリスクに大きな悪影響が出るとは考えにくい。
Vaccines.govのような健康関連の政府ウェブサイトとなると話が変わってくる。これまでに全米でどれだけ多くの人が、ワクチンに関する最新情報や接種できる場所を知るためにこのサイトに頼ってきたことか。Vaccines.govが理由や方針について明確な説明もなく大幅に改変されたために、どのような影響が生じるのかは誰にもわからない。こうしたサイトが予告も説明もなく事実上閉鎖されるのは、医師が診察の途中で、どこへ行くのかもいつ戻るのかも告げず、突然裏口から出ていってしまうようなものだ。


