北米

2025.12.10 10:00

米CDCのワクチン情報サイトが機能停止 感染症対策の司令塔、信頼性揺らぐ

Shutterstock.com

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米国内でワクチン接種を受けられる場所を探したい人にとって、頼りにできる手段がひとつ減ってしまった。米疾病対策センター(CDC)のウェブサイト「Vaccines.gov」は、もはや以前のように機能しない。というか、まったく機能しない。

Vaccines.govの検索ツールは機能しなくなっている

Vaccines.govにアクセスすると、「Find a pharmacy near you.(近くの薬局を探す)」と書かれたホームページが表示される。空欄に郵便番号を入力し、「Search(探す)」をクリックしてみてほしい。試しに「67」や「big fart(大きなおなら)」などと入れると反応はある。「有効な5桁の郵便番号を入力してください」と返ってくるのだ。どうやら「big fart」が郵便番号でないことくらいはわかるらしい。ところが「90210」のような有効な郵便番号を入れても、結果は同じなのだ。同じエラーが表示されて、検索結果は得られない。

ワクチン接種を受けられる場所はどこにもない、ということなのか。もちろんそんなはずはない。サイトの上のほうには「このウェブサイトの機能は更新作業中に影響を受ける可能性があります」と書かれている。まったく機能していないように見えるサイトの説明としては、なんとも控えめな表現だ。どのような更新が行われているのか、いつ完了するのかにすら触れていない。

Vaccines.govではほとんどの情報が消えている

検索ツールだけでなはない。ウェブサイトのデジタルアーカイブ「ウェイバック・マシン」に保存されている2025年6月24日時点のVaccines.govと現状を比べると、ほかにも数多くの変更が加えられていることがわかる。ここで言う「変更」とは、より実態に即した表現をすれば「削除」のことだ。たとえば、現在のVaccines.govには「FAQ(よくある質問)」欄がまるまる消え去っている。以前は「呼吸器系ウイルスは一般に、インフルエンザやCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)、RSV(呼吸器合胞体ウイルス感染症)といった病気を引き起こします。自分と大切な人たちを守る最善の方法は、推奨されているワクチンを接種することです」といった科学的根拠のある記述もあったが、それらもすべてなくなっている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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