AI

2025.12.15 08:15

1500円で買える悪のChatGPT ダークウェブで拡散する脅威

4. 信頼の崩壊—ディープフェイクと合成IDによる「なりすまし」の巧妙化

2026年の最大のセキュリティ課題は、「何も信じられなくなる」ことだと予想されている。ディープフェイクや音声クローニングに加え、実在する人物の情報と架空の情報を巧妙に組み合わせた「合成ID」が悪用され、本物と偽物の境界線が完全に曖昧になる。この合成IDを利用して、犯罪者は銀行口座の開設やローンを組み、クラウドサービスのアカウント乗っ取りを何年も発覚せずに続けることが可能となる。

5. 現実味を帯びる量子コンピュータ攻撃

従来のコンピュータとは桁違いの計算能力を持つ量子コンピュータ技術の発展により、現在「絶対に安全」とされている暗号化技術が解読されてしまう時代が近づいている。大規模な量子コンピュータによる攻撃の実現は数年先だが、犯罪者はすでに「今のうちに盗んでおき、実用化されたら解読する」という作戦を実行中だ。数年前にやり取りした暗号化メールや機密ファイルが、将来突然解読され露呈する恐れがあり、量子コンピュータ時代への備えは「今すぐ取り組むべき課題」となっている。

AIを活用した攻撃と防御の高度化が進み、サイバー犯罪の敷居が下がる一方で、熟練した攻撃者の能力はさらに強化されるおそれがある。サイバーセキュリティの専門家は、「今後は単なるデジタルリテラシーだけでなく、日常的なデジタルハイジーン(デジタル衛生習慣)の定着がより重要となる」と警鐘を鳴らす。

サイバー攻撃が企業の経営と社会インフラに直結する現代において、経営層から現場の社員まで、常にセキュリティ対策にアンテナを張り、意識を高く維持していくことが不可欠だ。

出典元:Nordvpn S.A.「2026年のサイバーセキュリティ脅威予測」より

文=飯島範久

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