経済

2025.12.15 07:15

製造業の2026年問題 8割超が懸念する調達コスト増と利益圧迫

GettyImages

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サプライチェーンの不安定化、物価上昇、為替変動といった複数の課題が同時に進行する中で、製造業の2026年の展望は楽観視できる状況ではない。キャディが製造業の管理職を対象に行った調査からは、コストアップという共通の課題に加え、業界固有のリスクが浮き彫りとなっている。

製造業全体が共通して懸念しているのは、収益へのマイナス影響である。円安や物価上昇がもたらす影響について、85.4%が「調達コストの上昇」を最も高く意識しており、続いて72.4%が「販売価格への転嫁が難しく、利益が圧迫される」と感じている。この結果は、為替影響で利益がプラス(30.7%)と回答した人を大幅に上回っている。

さらに、調達や原材料に関するリスクの見通しについても、全体の68.5%が「現在よりも悪化する」と回答しており、リスクの深刻化を覚悟している経営層が多いことがわかる。

全体としては「物流コストの上昇」(39.7%)や「経済の停滞・落ち込み」(37.7%)が大きな懸念テーマとなっているが、業種別に見ると、直面する課題の質が異なることがわかる。

特に注目すべきは自動車・輸送機械器具の分野で、「関税問題」が最大の関心テーマとなっている。この業界は、サプライチェーンが国境を跨ぐため、関税といった貿易摩擦に収益が直結する構造を持つと言える。

一方で、素材・素材加工や機械・設備といった川上工程に近い業種では、人手不足が「さらに深刻化する」と見る割合が他業界に比べやや高く、デジタル技術の影響実感も相対的に低いという特徴が見られた。

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文=飯島範久

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