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2026.01.28 14:15

『北斗の拳』と老舗の酒蔵がコラボ、公立高校初の「漫画学科」も。熊本・高森の挑戦

山村酒造の代表銘柄「れいざん」と漫画『北斗の拳』とのコラボレーションで生まれた日本酒「レイ斬!(れいざん)」

山村酒造の代表銘柄「れいざん」と漫画『北斗の拳』とのコラボレーションで生まれた日本酒「レイ斬!(れいざん)」

本稿は「トラストバンク地域創生ラボ」より、再編集しての転載である。


熊本・高森町。この地域に原風景を感じるというのは、元NHKアナウンサーの武田真一さんだ。

高森町で育まれた日本酒「れいざん」と醤油「阿蘇マルキチ醤油」は、その技術を継承しつつ、新しい文化の灯りをともそうとしている。例えば、『北斗の拳』とのコラボ、そして、漫画家や若者が集うアーティストビレッジ「阿蘇096区」だ。伝統と新しい表現が交差する町からはじまる2つの品。武田さんがその魅力について教えてくれた。

日本酒・醤油の味でよみがえる街の記憶

高森町の中心にそびえる老舗の酒蔵・山村酒造。万延元年(1860年)に創業し、いまも白壁の蔵が町のシンボルとして立ち続ける。新酒ができると軒先に吊るされる青い杉玉は、町に息づく季節の合図。

武田さんにとって、この光景は「高森がまだ元気だと教えてくれる証」だという。子どもの頃、実家の窓からは発酵する米の甘い香りが漂ってきた。夏休みにその香りを感じると、帰省したことを実感したという記憶は、今も色濃く残っている。

山村酒造の代表銘柄「れいざん」と漫画『北斗の拳』とのコラボレーションで生まれた日本酒「レイ斬!(れいざん)」が話題となった。

また、酒蔵のすぐ近くには、地元で愛される阿蘇マルキチ醤油がある。九州独特の甘い醤油は、刺身や煮物に欠かせない。武田さんの家庭でも「これでなければ食卓にならない」と語るほど、味覚の中心を占めてきた。

「夏になると、阿蘇特産のとうきび(さとうきび)を食べるのですが、阿蘇マルキチ醤油を塗るんです。とうもろこしは甘くなく、硬いものなんですが、醤油を塗って焦げるまで焼いて食べるのがとても美味しかった。

実家に帰るたびに醤油を買い求め、東京にも持ち帰ります。私の子供たちは東京で育ったのですが、『お刺身は熊本の醤油』と言います。高森の醤油は、家族の暮らしの記憶にすっかり刻まれていますね」

食べ慣れた味は、遠く離れても心をふるさとにつなぐ絆だ。

こちらもコラボ。北斗の3兄弟のそれぞれのキャラクターと、3種の調味料の個性が絶妙にマッチした「見て」「味わって」楽しめる逸品となった。

酒蔵と醤油蔵、ふたつの老舗が同じ町内にあり、互いに高森の歴史を支えてきたのは稀有なこと。両者は町の経済と文化を形づくる「双璧」でもある。

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トラストバンク地域創生ラボ

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