暮らし

2026.01.28 14:15

『北斗の拳』と老舗の酒蔵がコラボ、公立高校初の「漫画学科」も。熊本・高森の挑戦

山村酒造の代表銘柄「れいざん」と漫画『北斗の拳』とのコラボレーションで生まれた日本酒「レイ斬!(れいざん)」

「アーティストビレッジ阿蘇096区」の可能性

伝統の担い手だけでなく、新しい文化の芽も高森に根付き始めている。その象徴が、旧温泉館を活用した「アーティストビレッジ阿蘇096区」だ。ここでは全国から集まった若い漫画家やクリエイターが共同生活を送り、創作活動に励んでいる。町の高校には漫画学科が新設され、公立としては全国初の試みとなった。

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外から来た才能と地元の若者が交わり、新しい学びや産業が生まれる仕組みは、人口減少に悩む地域にとって貴重な資源だ。武田さんも「伝統と現代文化の接点が、町の未来を照らしている」と期待を寄せる。

アーティストビレッジ阿蘇096区には海外や都市部からも若者が集まり、町に新しいまなざしを持ち込んでいる。地元の高校生がプロの漫画家に出会い、「自分の町でも表現を続けられる」と感じることは大きな財産だ。外から来た人々は、地域の風景や暮らしを新鮮な目で発見し、SNSや作品を通じて広く発信する。その視線は、地元の人が忘れかけていた価値を再評価させる契機となる。

武田さんは「伝統と新しい文化の両輪がそろうことが地域の力になる」と語る。外からのまなざしは、町を未来へとつなぐもう一つの資源なのだ。

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この動きの延長線上にあるのが、人気漫画『北斗の拳』とのコラボレーションだ。名作漫画が、酒蔵や醤油といった地場産業と結びつき、ふるさと納税の返礼品としても注目を集めている。ラベルに描かれたキャラクターが商品に新しい命を吹き込み、かつて商店街を賑わせたエネルギーを現代的に再編集しているのだ。武田さんは「思い出の品が全国へ羽ばたく姿を見られるのは嬉しい」と笑顔を見せる。

おすすめの2品と小さな旅の提案

こうした動きは、ただのコラボにとどまらない。訪れた人が「伝統」や「漫画」を手がかりに町の歴史や風景に触れれば、それは新しい旅の入口になる。武田さん自身も「高森を訪れたら、(コラボ商品以外も)町内のスーパーや飲食店ではどこでも置いていますので、ぜひ味わってほしい」と語る。静かな町並みに漂う香りや味は、訪れる者に深い記憶を刻む。

いま武田さんがおすすめするのは日本酒「れいざん」と「阿蘇マルキチ醤油」。どちらも幼少期の記憶を呼び覚ます、ふるさとの味だ。ふるさと納税を通じて手に入れることもできるが、できれば現地を訪れてほしい。町を歩けば、杉玉の揺れる蔵や、湧水の清らかな流れ、そして新しい漫画文化の芽吹きを実感できる。静けさの中に響く子どもたちの笑い声や、夜に賑わう虫の音が、旅人に「暮らしの息づかい」を教えてくれるはずだ。

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