暮らし

2026.01.13 14:15

年収200万でも幸せに暮らせる町に━━塩江町、目指すは「幸福なダウンサイジング」

本稿は「トラストバンク地域創生ラボ」より、再編集しての転載である。

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人口流出や少子高齢化を相手に各地で策が講じられるなか、ユニークな持論を元に町おこしを行う団体がある。香川県は高松市塩江町を拠点とする一般社団法人トピカだ。塩江町の2022年の人口は2300人弱、高齢者率49.58%。日本の超高齢化社会の前線にあるようなこの町で、「幸福なダウンサイジング」を目指し地域のコミュニティと一体となり活動している。トピカの活動軸でもある、この「幸福なダウンサイジング」とは一体何か? また活動を続けるなかで町のコミュニティに現れた変化とは? トピカ代表の村山淳さんに、塩江流の町おこしについて詳しく聞いた。

幸福なダウンサイジング

トピカは塩江町の住民と塩江町の地域おこし協力隊が中心となり、2020年に立ち上げた団体だ。きっかけは約5年前。東京の大学院卒業後、地方の移住先を探していた村山さんは、地域おこし協力隊を募集している塩江町の存在を知る。東北出身で香川には縁もゆかりもなかったが、村山さんが移住先の条件として挙げていた“島と山と海が近い”を全てクリアしていたことが移住の決め手に。協力隊で3年間の任期を終えた後、引き続き塩江での暮らしを選択したことで、トピカがスタートした。

「地域のためならなんでもやります」という協力隊の志を引き継ぐように、トピカの活動範囲はかなり広い。大学・大学院で歴史学を専攻していた村山さんの得意分野である、町の歴史の調査と保全に主軸を置きつつも、マネタイズの可能性を探るために、ダム湖でのカヤックツアー(観光)や子ども向けの里山体験教室(観光×教育)、また斜面の多い中山間地域の特徴を生かした小規模農業(農業)にも取り組んでいる。町の高齢者からの依頼で、草刈りをすることもある。活動の根底にあるのは“幸福なダウンサイジング”の考え方だ。

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「少子高齢化や産業の衰退に対し様々な町おこしが各地で行われていますが、私は『過去の賑わいを取り戻す』ことを安易に選択することに疑問を感じていて。大量の観光客を呼び込み地域をガンガン回していくような経済システムは、長期的に見ると多くの地域では現実的ではありません。そうした思いから、トピカでは細々とながら幸福に地元住民が関われる共同体のあり方を模索しています。いずれは塩江の“幸福なダウンサイジング”が、地方の町おこしの一つのモデルになればと思っています」

小さいままでも、縮小してもよい。小さくなっていくコミュニテ小さいままでも、縮小してもよい。小さくなっていくコミュニティのなかにいかに幸福を作りだせるかが着眼点だ。村山さんが目指すのは「年収200、300万でもすごく豊かな暮らしができる町」。一見、ネガティブに捉えることもできるこの目標を町の人にハレーションを起こさず伝えていくことも、トピカの一つのミッションと言える。

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トラストバンク地域創生ラボ

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