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2026.01.12 15:15

「犬の殺処分数全国ワースト1位」にショック、香川県小学4年生の活動全国6拠点へ

香川県高松市「ワンニャンピースマイル」

小学4年生を動かしたのは、香川県の実情

発足のきっかけは、愛葉さんが小学4年生の頃まで話は遡る。自宅で飼っていた愛犬が亡くなり悲しみにくれていた時、愛葉さんは香川県の犬の殺処分が4年連続全国ワースト1位、という事実を知る。いてもたってもいられなくなった愛葉さんは「犬や猫を助けたい!」という想いで動物愛護を訴えるポスターを作り近所の家や店に配り、犬猫が殺処分される保健所の見学にも行った。

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「ペットは可愛いだけでは飼えません、といった内容のポスターを友達と一緒に作って配っていたんです。私も後から知って、驚きました。その後しばらくしてから、外で保護した野良猫をうちで飼い始めました」(葉子さん)

香川県の殺処分数は年々改善

2023年3月に公開された令和3年度の統計では、香川県の犬の殺処分数は全国ワースト2位、猫は27位にまでその数は減った。団体発足から約5年、葉子さんは言う。

「協力してくださるボランティアスタッフさんが増え、保健所に入る前の猫を保護して預かってくださることも多くなりました。こうした人々の理解と地道な取り組みが数字にも現れているのだと思います」

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一方で、新たな課題が生まれていると葉子さんは続ける。

「活動の認知は広がったのはよいことですが、その反面、犬猫を預かってほしいという問い合わせも年々増えていて、メンバー宅で預かりできる頭数が間に合っていない状況です。コロナ禍では、犬・猫の譲渡会をはじめとするイベントが開催できなかったり、里親希望者と預かりさんがなかなか対面できない期間が続いたので、里親探しが長らくペースダウンしていたことも大きな理由です」

頭数が増えれば、その分フード代や医療費などの資金もかかる。特にお金がかかるのは、生後2か月以下の野良猫・犬を保護した場合だ。動物愛護法では、ペットの販売・譲渡ができるのは生後2か月以降、かつワクチンやノミダニ駆除などの規定の処置を行ってから販売・譲渡することが定められているためだ。もちろん、動物愛護センターのような公的な施設で譲渡される犬・猫も同じ条件だが、これらの資金や手間を市民団体が賄うハードルは高い。

ペットが下げる、 未知への「心のハードル」

子ども主体の団体ということで聞いてみたかったのは、子ども自身の変化について。国内外の獣医や学者、行政の方々、近所の事業者、また取材や調査に来る大学生やボランティア体験に訪れる高校生など。活動開始から7年間、様々な方との関わりを経て、メンバーの成長をこれまでに何度も感じてきたと葉子さんは言う。

「学校や普段の生活にはないそうした出会いを通じて、子どもたちが刺激を受け、社会への意識が高まっていくのを感じます。特に、不登校や発達障害のあるメンバーの変化は大きいです。普段の活動やコミュニティが限られている彼らの第3の居場所になるだけでなく、活動を通して“自分でできることが増えた”という自信に繋がっていきます」

社会のこと、マナーのこと、外国のこと。そうした未知の世界に飛び込む心のハードルを、ペットという身近な存在が下げてくれるのだ。

夢は地域に開かれたシェルターを作ること

ワンニャンピースマイルの目標は「殺処分数ゼロの社会」。それに向かって、香川県に犬・猫のシェルターを作るのが愛葉さん、葉子さんの夢だ。現在団体では野良犬・猫の捕獲をしてほしい、という依頼は断っている。捕獲した犬・猫に感染症などの病気があった場合、既に預かっている犬・猫を危険に晒すことになるためだ。しかし本来は「捕獲から携わりたい」というのが愛菜さんの想いだ。

「捕獲した犬・猫を少しずつ慣らして心を開いていく道のりは大変ですが、人間と動物の絆を感じる、かけがえのない瞬間でもあります。将来は動物看護師を目指していて、今はそこにやりがいを感じています」

シェルターには保護猫カフェを設けて、里親情報を探している方や近所の人がいつでも訪れては、保護猫・犬と触れ合える。2人が目指すのは、そんな保護猫・犬の居場所をオープンにしたシェルターだ。1人の小学生の純粋な想いから始まった活動は、人びとの心を打ち、波紋のように地域へと広がっている。

撮影場所:さぬき動物愛護センター しっぽの森

ワンニャンピースマイル

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