編集部:競争の激しい出会いの市場の中で、Timeleftはどう差別化を図っているのですか?
M.B.:私たちが展開している都市にもローカルの競合アプリはいくつかありますが、規模はずっと小さいです。たとえばサンパウロでは、似たアプリが1晩に約50人を集めていますが、Timeleftは1晩で15000人が参加しています。また、最近ではニューヨークのランニングクラブのように、知らない人同士が一緒に走り、「黒いTシャツを着ている=シングルです」というサインを出す新しいトレンドもあります。
私たちは偶然の出会いに賭けています。そして私は、従来のデーティングアプリはゆっくりと衰退していくと確信しています。なぜなら彼らは、「完璧な相手が存在する」という「選択の幻想」をユーザーに信じ込ませすぎているからです。フィルターも細かすぎて、そもそも人は自分が本当に何を求めているのかを分かっていません。
何より問題なのは、「出会いの前段階(オンライン上)」に時間をかけすぎていること。けれど、知らない人に実際に会うことこそが、思いがけない発見につながるんです。私自身、Timeleftのディナーで家庭裁判所の判事や有名な発明家(匿名参加)と出会って驚いたこともありました。
今の私たちの強みは、まさにこのフレーズに集約されます──「水曜日といえば、Timeleftでディナー!」
昔、人々が日曜の教会や土曜のサッカーで自然に交流していたように、Timeleftは失われつつある人とのつながりの時間を取り戻す場になっています。以前、バーでのイベントも試しましたが、そこでは多くの人が早く帰ってしまい、深い出会いが生まれにくいことがわかりました。その点、レストランでは席に座って会話を深める時間が自然と生まれるんです。
━━これから起業を目指す人たちへ、どんなアドバイスを送りますか?
M.B.:私がよく思い出すのは、小説家マット・ヘイグの言葉です。「Nothing is stronger than a small hope that doesn’t give up.(決して諦めない小さな希望ほど強いものはない)」
良い起業家とは、決して諦めない人のことです。私は、最初のアイデアがそのまま成功したビジネスを一つも知りません。レジリエンス(しなやかな粘り強さ)こそ、起業家にとって最も大切な資質です。最初のうちは試行錯誤するのが当たり前なんです。
また、自分のやっていることに情熱を持てなくなったら、無理に続けるべきではないとも思います。1年前、私はすべてを自分一人で回していて、予約管理もTypeformやExcelを手作業で入力していました。でもこのプロジェクトに心からワクワクしていたからこそ、続けられた。もしそうでなければ、とっくに諦めていたでしょうね。


