宇宙

2025.12.26 15:15

宇宙からの飛来物、地上への衝突リスクに地域差? 天体100億個のモデル化で判明

Wonderful Engineering

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地球上の場所によって、太陽系外から飛来する天体が衝突するリスクには差があることがわかった。ScienceAlertが伝えた新しい研究によると、地球の中でも特定の地域は、こうした太陽系外からの訪問者(星系外天体)による衝突の危険にさらされやすいという。研究では、宇宙衝突が起こりやすい場所や条件について詳しく調べられている。

これまでに確認された星系外天体はわずか3例しかない。2017年のオウムアムア、2019年の2I/ボリソフ、そして現在接近中の彗星3I/アトラスだ。これらの珍しい天体は、遠く離れた恒星の周りで形成された物質をわずかに太陽系内に持ち込み、科学者たちに貴重な観測機会を提供している。地球に衝突することはなかったものの、研究では過去数十億年の間に多くの星系外天体が地球に接近していた可能性があり、古代のクレーターの中にはその痕跡が残っているかもしれないと指摘している。

この研究「地球衝突可能性を持つ星系外天体の分布(The Distribution of Earth-Impacting Interstellar Objects)」は、ミシガン州立大学のダリル・セリグマン(Darryl Seligman)氏らが主導した。研究チームは高度なシミュレーションを用いて約100億個の星系外天体をモデル化し、約1万件の仮想的な地球衝突を生成した。目的は、衝突がいつ、どのくらいの頻度で起こるかを予測することではなく、どの方向から、地球のどの地域が特に影響を受けやすいかを理解することにあった。

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研究によると、太陽系外から飛来する天体(ISO)が地球に接近しやすい方向は2つある。ひとつは太陽の進行方向である「太陽頂点」、もうひとつは銀河系の星が多く集まる「銀河面」だ。太陽頂点の方向では、地球は宇宙空間を移動する中で「正面からの風」のように天体の飛来物にさらされる。一方、銀河面は銀河の密集した円盤状領域で、多くの星が存在するため、もうひとつの天体接近のホットスポットとなる。

衝突の可能性が高い地域は、赤道付近の低緯度地域が最も危険で、次いで北半球にやや高い確率が見られる。この偏りは、地球の傾きや自転、そして陸地や人口の分布が均等でないことを反映していると考えられる。また、速度の速い天体(ISO)ほど、地球が太陽頂点の方向に向かう春に衝突する可能性が高いこともわかった。

これらの結果は、天体(ISO)がどのくらいの頻度で衝突するかを示すものではない。しかし、どの場所・どの時期に接近しやすいかを把握することで、ヴェラ・ルービン天文台などの観測計画に役立てられる。天文学者は、次に地球に接近する太陽系外の天体を検出し、必要に応じて軌道の予測や対応の準備を進めやすくなるだろう。



(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から翻訳したものです)

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