フリーランスとして働く人が増える中、企業とフリーランスの関係に新たな動きが出ている。プロジェクト単位での協業が主流だったはずが、いつの間にか「正社員として迎えたい」と考える企業が増えているのだ。
フリーランスマッチングサービスWorkshipを展開するGIGが人事・採用担当者106人を対象に実施した調査から、フリーランスを正社員として登用する「トランジション採用」の実態が明らかになった。
半数以上の企業が検討・打診の経験あり
調査によると、フリーランスとして業務を依頼していた人材に対し、正社員としての採用を「検討・打診したことがある」と回答した企業は44.3%に上った。さらに「検討中」の12.3%を加えると、56.6%と半数を超える。

プロジェクトベースで協業していたフリーランスを、正社員として迎え入れる動きは、もはや特殊なケースではなく、企業の採用戦略の一つとして定着しつつあるようだ。
判断期間は半年から2年未満が6割
では、企業はどのくらいの期間で正社員登用を判断しているのか。
最も多かったのは「1年〜2年未満」で31.7%、次いで「6ヶ月〜1年未満」が26.7%だった。この2つを合わせると58.4%となり、約6割の企業が半年から2年という比較的短期間で判断していることがわかる。

フリーランスとして働く側にとっては、半年経過時点で、すでに採用の見極め期間に入っている可能性があるということだ。プロジェクトが終わるまで、と悠長に構えているわけにはいかないのかもしれない。
スキルだけでは不十分、カギは「信頼関係」
正社員として登用されるフリーランスには、どのような特長があるのか。
トップは「専門性やスキルが非常に高い」で55.0%だった。これは予想通りだろう。しかし注目すべきは2位以下だ。「周囲と積極的にコミュニケーションを取っている」が48.3%、「企業文化やチームへの理解度が高い」が45.0%と続いた。

組織の中でどう振る舞うか、周囲とどう関係を築くかも、正社員登用の重要な判断材料になっていることがわかる。企業が求めているのは、即戦力としてのスキルだけでなく、長期的に組織に溶け込める人材だということだ。
ミスマッチを防ぐ採用戦略
「トランジション採用」という言葉は、まだ耳慣れない。しかし今回の調査では半数以上の企業が検討しており、書類選考や面接だけでは見えない実際の働きぶりを確認できる採用手法として、一定の広がりを見せているようだ。
フリーランスとして働く人にとって、プロジェクトへの参画は単なる業務委託ではなく、将来的な雇用につながる入口になるかもしれない。そしてそこで評価されるのは、結局のところ、実力とコミュ力の両輪かもしれない。
【調査概要】
調査期間:2025年10月
調査対象:人事・採用担当者106人
調査方法:オンラインアンケート調査



