宇宙

2026.01.09 15:15

大天文イベント「6分23秒の漆黒の闇」。21世紀屈指の皆既日食

2027年8月2日、ヨーロッパ、北アフリカ、中東の一部が、6分23秒ものあいだ完全な闇に包まれるという、きわめて稀で壮大な皆既日食が起きる。この長さは21世紀でも最長級で、視覚的に圧巻であるだけでなく、太陽フレア、コロナ質量放出、大気電離、気温変化などを高精度で観測できる貴重な科学的機会となる。

太陽が6分間消える日

アジアやアメリカ大陸の多くは皆既状態を見られないが、西インドなどの地域や複数の沿岸部では部分日食を体験できる。今回の日食が異例の長さとなる理由は、月が近日点(ペリジー)に達して見かけ上大きくなる一方、地球が遠日点(アフェリオン)に近づき太陽がわずかに小さく見えるという、珍しい配置が重なるためである。

この“サイズがちょうど合う”条件によって、月が通常より長く太陽を完全に覆うことが可能になっている。さらに、影の通り道が赤道近くに位置するため、月の影の移動速度が遅くなり、皆既時間がさらに延びる。

Space.comによれば、今回の日食は1991年から2114年の間で地球上から観測できる最長の皆既日食であり、世紀を代表する天文イベントの一つとなる。

皆既の間、観測者は普段は強烈な太陽光に隠されて見ることのできない太陽外層大気「コロナ」を目にすることができる。科学者にとって、この繊細なプラズマの光冠を観測することは、太陽嵐の起源を理解し、それが衛星、無線通信、電力網に与える影響を解明するうえで極めて重要である。

皆既帯はチュニジア、アルジェリア、リビア、エジプト、スペイン南部、サウジアラビア、イエメン、オマーン、アラブ首長国連邦南部など複数の国を横断する。なかでもエジプトのルクソールは、皆既6分23秒の最長観測時間が期待され、世界でも有数の絶好の観測地となる。

「月が地球に極めて近い」「太陽がわずかに小さく見える」が同時に起きる

今回の長い皆既時間は、月が地球に極めて近く、太陽がわずかに小さく見えるという条件が同時に満たされることで実現している。この“完璧な並び”によって、通常2~4分程度の皆既が、圧倒的に長く続くのである。

皆既帯に入る観測者は、完全に太陽が隠れている間のみ日食グラスを外すことができ、太陽光が再び現れた瞬間に速やかにかけ直さねばならない。部分日食が見られる地域では、観測中ずっと保護眼鏡を外してはならない。認証済みのソーラービューアや、ISRO・ISO規格に適合した日食グラスのみが安全であり、スマートフォン、双眼鏡、望遠鏡などを適切な太陽フィルターなしで覗くのは極めて危険である。

この現象は、昼が一瞬だけ夜へと変わる稀な瞬間であり、忘れがたい光景と重要な科学的チャンスを同時にもたらすだろう。

(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から翻訳したものです)

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