12月の第2週は、ドラマチックな冬の夜の眺めを私たちに届けてくれる。月明かりの影響がいよいよ弱まり、オリオン座が夜空に君臨する。土星はまだ南の空に残っており、月は深夜に星座の間を縫うように旅を続ける。週末が近づくにつれ、厳しさを増す寒空の下「2025年最高の流星群」であるふたご座流星群への期待が高まってゆく。
2025年12月9日からの1週間の夜空の見どころをまとめた。
12月10日(水):月がレグルスに接近
10日の未明~明け方と深夜~翌11日未明の2夜にわたり、ややふっくらとした半月がしし座で最も明るい1等星レグルスの近くに出現する。北米の一部地域では、月が一時的にレグルスを隠す星食(レグルス食)が起こる。
「獅子の心臓」の異名を持つレグルスは、実は4つの星で構成されている多重連星だ。太陽系に暮らす私たちにとって、2つ以上の恒星が互いの重力で結びつき、共通の重心の周りを公転しているというのは珍しい現象のように聞こえるかもしれないが、夜空に見える恒星の大半は連星だとみられている。孤独な太陽のほうが、むしろ例外なのだ。
12月12日(金):下弦の月
下弦の月は深夜まで昇ってこないため、夕方~宵のうちは月明かりのない夜空が楽しめる。日暮れの早いこの時期は夕食前にも星を眺める時間が取れるので、暗い夜空はなかなか重宝する。
12月14日(日): ふたご座流星群が極大
今年いちどだけ流星群を見るなら、ふたご座流星群を選ばない理由はない。流れ星の数が多いという点で年間最大の流星群で、極大時には1時間に最大150個の流星が出現する。明るい流星が多く、スピードは比較的ゆっくりで、しかも黄、緑、青など色彩豊かな流れ星が観測できる。写真にも撮りやすい。
見ごろは13日深夜~14日未明と、14日宵~15日明け方。未明には欠けゆく下弦の月が昇ってくるが、放射点が高くなる午後10時~翌午前2時ごろにかけては暗い空が約束されている。
ふたご座の兄弟星、カストルとポルックスの近くから放射状に広がるように飛び出してくる鮮やかな火球に期待したい。ただし、流星は夜空のあちこちに飛ぶ。街明かりが目に入らない場所で、リクライニングチェアや毛布を活用して楽な体勢を取り、防寒対策もしっかり行った上で、20~30分かけて目を暗闇に慣らしてから観測に挑もう。
今週の星座:ふたご座
ふたご座は、ふたご座流星群の放射点がある星座だ。最も明るい2つの星カストルとポルックスは、神話上の双子の頭に位置している。この時期は午後9時過ぎに東の空を見上げると、2つの星が縦に並んで昇ってくるのが見える。仲良く横たわる双子の体の輪郭を、かすかな星々が象っている。



