「F1チーム」評価額ランキング 2025年版
※チームの順位などの動向は、英語版記事公開日の11月20日時点のもの
1位:フェラーリ
評価額:65億ドル(約1兆円)
売上:6億7000万ドル(約1039億円)○営業利益:8000万ドル(約124億円)○チーム代表:フレデリック・バスール
1950年のF1初参戦以来、16回のコンストラクターズ選手権を制してきた名門フェラーリは今季、ドライバーズ選手権7回制覇の記録を持つルイス・ハミルトンを迎えた。しかし、チームは2008年を最後にタイトルから遠ざかっており、メルセデスで12シーズンを過ごした後に加入したハミルトンも、フェラーリでの初年度は厳しい戦いを強いられた。
「この素晴らしいチームで走るという夢と、これまでの結果がもたらした現実との間を行き来しているようだった。難しいシーズンだ」と、11月20日時点でドライバーズ選手権6位につけていたハミルトンはスカイスポーツに語った。一方、ファンの支持は依然として強い。スポンサー分析会社Blinkfireによると、フェラーリのSNS上でのエンゲージメントはF1の他チームを31%上回り、スポンサーにもたらしたメディア価値も44%多かった。
2位:メルセデス
評価額:60億ドル(約9300億円)
売上:7億9900万ドル(約1238億円)○営業利益:2億200万ドル(約313億円)○チーム代表:トト・ヴォルフ
メルセデスは、長年チームを率いたルイス・ハミルトンの退団後、イタリア出身の10代の新人キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルを組ませた。結果は上々で、ラッセルは11月20日時点でドライバーズ選手権4位、アントネッリはハミルトンに次ぐ7位につけた。2人は10月に契約を延長し、来季もチームに残留する。
コンストラクターズ選手権2位のメルセデスは、2014年から2021年にかけて8連覇を達成した体制の再構築を目指しているが、スポンサーの注目度も十分だ。1月にはアディダスがチームのアパレルパートナーとなり、年間約3000万ドル(約47億円)規模とされる複数年契約を結んだ。
3位:マクラーレン
評価額:44億ドル(約6820億円)
売上:6億1400万ドル(約952億円)○営業利益:6100万ドル(約95億円)○チーム代表:アンドレア・ステラ
5年前、財務危機に直面したマクラーレンは約1億8500万ドル(約287億円)の借入と少数株の売却を行った。しかし、コンストラクターズ選手権2連覇を達成した2025年は、F1の名門の地位を取り戻し、シーズン終盤にはランド・ノリスがドライバーズランキングの首位に立った。
事業面でも成長が加速した。商業戦略を重視するマクラーレン・レーシングのザック・ブラウンCEOの下で、チームの売上は前年比26%増の6億1400万ドル(約952億円)となった。同CEOは昨季、総額5000万ドル(約78億円)の報酬を得ていた。マスターカードが年間1億ドル(約155億円)規模とされるタイトルスポンサー契約を結ぶ2026年には、さらなる収益拡大が見込まれる。ブラウンCEOはこの契約が、「マクラーレンがこれまで得た中で最大のパートナーシップだ」とフォーブスに語った。
4位:レッドブル・レーシング
評価額:43億5000万ドル(約6743億円)
売上:6億1800万ドル(約958億円)○営業利益:2600万ドル(約40億円)○チーム代表:ローラン・メキース
2022年と2023年にコンストラクターズ選手権を制したレッドブル・レーシングだが、2025年は波乱のシーズンとなった。2006年からチームに在籍し、卓越した設計技術で知られるエイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンに移籍。開幕2戦を終えた時点で、ドライバーのリアム・ローソンが姉妹チームのレーシング・ブルズに降格となった。7月には、2005年からチーム代表を務めてきたクリスチャン・ホーナーが解任され、最終的に1億500万ドル(約163億円)規模と報じられた退職合意を結んだ。
一方、4年連続ドライバーズタイトルを獲得したマックス・フェルスタッペンを擁する事実だけでも、チームはスポンサーにとって依然魅力的だ。9月にはカーライルと新たなパートナーシップを締結し、同社のロゴがマシンやドライバーのスーツ、ピットウォール、ガレージに表示されることになった。
5位:アストンマーティン
評価額:32億ドル(約4960億円)
売上:3億5300万ドル(約547億円)○営業利益:マイナス1800万ドル(約-28億円)○チーム代表:アンディ・コーウェル
今季のアストンマーティンはコンストラクターズ選手権7位と振るわなかったが、チームは将来に向けた体制づくりを進めている。エイドリアン・ニューウェイをテクニカル部門のトップであるマネージングテクニカルパートナーに迎え、会長のローレンス・ストロールも引き続き投資を続けている。2011年のマイケル・コースの上場を主導するなどして推定38億ドル(約5890億円)の資産を築いたストロールは現在、高級車メーカーのアストンマーティンの大株主でもある。
F1のアストンマーティンは、パートナーシップの拡大で収益基盤を強化している。今季は、新たにスキンケアブランドのエレミスと契約し、女性ファンの拡大を目指すF1にとっても新たなカテゴリを開く展開となった。


