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2025.12.09 09:00

驚異の「株価120倍」、S&P500に新採用されたカーバナの復活劇

Thomas Fuller/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

Thomas Fuller/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

米中古車販売ECのカーバナ(Carvana)がS&P500種株価指数に採用されるとの発表を受け、同社株は米国時間12月8日の取引開始とともに急騰した。米国記事執筆時点では、同社の時価総額はフォードやゼネラル・モーターズを上回っている。

8日午前、カーバナの株価は7.2%高の約429ドルとなり、過去最高値を更新した。これにより、過去10日間における上昇率は38%に達した。

今回、カーバナの株価を押し上げたのは、四半期ごとに実施されるS&P500の構成銘柄の見直しにより、同社が指数に採用されるとの発表だった。この入れ替えは12月22日から実施される。

カーバナとともに新たにS&P500に採用されるのは、建設資材メーカーのCRHと、空調メンテナンスなどを手掛けるコンフォート・システムズUSAで、代わりにLKQ、ソルスティス・アドバンスト・マテリアルズ、モホーク・インダストリーズが構成銘柄から外される。

カーバナ株は、2022年12月7日に過去最安値の3.55ドルを付けて以来、これまでに約1万2000%上昇している。8日時点の時価総額は866億ドル(約13.5兆円。1ドル=155円換算)となり、7億ドル(約1085億円)超にまで落ち込んでいた状況から劇的に回復した。この時価総額は、フォード(約8兆円)やゼネラル・モーターズ(約11.2兆円)、そしてジープやクライスラーなどのブランドを所有するステランティス(約5.4兆円)を上回る規模である。

S&P500構成銘柄の見直しは年4回行われる。採用されるための条件として、過去4四半期決算で黒字であること、時価総額が最低227億ドル(約3.5兆円)であること、米国に本社を置くこと、米国の承認された証券取引所に上場していることが求められる。また、時には市場全般の動向が採用の理由となることもある。その例として、ブロック(旧スクエア)は2025年初め、シェブロンがエネルギー企業のヘスを買収したことを受けて、ヘスの代わりにS&P500の構成銘柄となった。一方、多くの場合、時価総額の基準を満たせなくなった企業は除外される。

カーバナ株は2022年末に暴落し、当時のウォール街は同社の株価が1ドルまで落ち込む可能性があると予測していた。カーバナ株はパンデミック期にズーム・コミュニケーションズ、ペロトン・インテラクティブ、ロビンフッド・マーケッツなどと同様に急騰し、2020年3月から2021年8月にかけて300%以上の上昇を記録した。しかしその後、同社は販売減と赤字に悩まされることになり、10億ドル(約1550億円)超の負債を削減し、より慎重な拡大計画へと方針を切り替えた。

米投資会社ヒンデンブルグ・リサーチは1月、カーバナを空売りしていることを明かし、同社の業績回復は会計操作によって支えられた「蜃気楼」だと主張した。これに対しカーバナは、ヒンデンブルクの主張は「意図的に誤解を招くもので不正確だ」と反論した。また、JPモルガンとBTIGのアナリストも、こうしたヒンデンブルグの見方を否定していた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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