北米

2025.12.09 08:00

米12月FOMCでの利下げは「ほぼ確実視」、その理由は

Chip Somodevilla/Getty Images

Chip Somodevilla/Getty Images

予測市場は、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げをほぼ確実視している。最近の経済指標が労働市場の悪化を示したことで、ウォール街は金融緩和への転換を見込んでいる。

ブロックチェーンを活用した予測市場のポリマーケットは、米国時間12月8日時点で、FRBが25ベーシスポイントの利下げを実施する確率を95%としている。これが実現すれば、金利の誘導目標は3.5%から3.75%のレンジに引き下げられることになる。また、金利が据え置きされる確率は6%で、25ベーシスポイント以上の大幅な利下げや、金利が引き上げられる確率は1%未満とされている。

ポリマーケットの競合であるカルシは、25ベーシスポイントの利下げの確率を93%、より大きな利下げの確率を1%未満としており、11月には25%まで低下していた利下げの確率は急上昇した。

CMEのFedWatchツールによれば、市場は25ベーシスポイントの利下げの可能性をおよそ90%と織り込んでおり、11月に40%を下回った確率は大きく回復している。

JPモルガン、モルガン・スタンレー、野村、スタンダード・チャータードなど複数の証券会社も予想を転換し、以前は据え置きと見ていたが、現在は利下げを見込むようになった。

FRBは10日の午後2時(米東部時間)に新たな金利政策について発表する予定だ。

FRBが10月に利下げを行った直後、ジェローム・パウエル議長が追加の利下げは「既定路線ではない」と発言したことを受け、12月会合での利下げの確率は急落した。さらに、政府閉鎖の影響で、失業率やインフレに関する重要な経済指標が延期・中止されたことにより、利下げの確率はさらに低下した。

しかし、11月には転換点が訪れる。ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁が「近い将来」に利下げの余地があると述べたことで、オッズは再び上昇した。FRBの副議長も務めるウィリアムズは、労働市場が冷え込む中でインフレリスクが「いくぶん低下した」と指摘した。サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁も同様に、悪化する労働市場を理由に利下げ支持を表明した。

9月のインフレがわずかに改善したこと、そして、同時に労働市場がさらに弱まったことを示す経済データが公表されたことも、証券各社の楽観を強めた。スタンダード・チャータードは、政府閉鎖後のデータは「決め手に欠ける」と述べ、ゴールドマン・サックスは、失業率が上昇した9月の雇用統計により、利下げは確実視されるようになったと述べた。

パウエルの後任候補は?

ドナルド・トランプ大統領は、利下げを迅速に行わなかったとしてパウエル議長を批判しており、先日、「来年初めにも」パウエルの後任を発表すると述べた。パウエルは2017年にトランプによりFRB議長に任命され、2021年にジョー・バイデン元大統領によって再任された。その彼の任期は、2026年5月に終了する。

現在のところ、国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長が後任の最有力候補と見なされており、ポリマーケットは、ハセットが後任に指名される確率を79%としている。次点は元FRB理事ケビン・ウォーシュの10%で、スコット・ベッセント財務長官とFRB理事のクリストファー・ウォラーが4%で続いている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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