欧州

2025.12.09 12:30

ロシアがシャヘド無人機に空対空ミサイルを搭載 迎撃ヘリの脅威に

ロシア軍のシャヘド型ドローン(無人機)の残骸から見つかったR-60短距離空対空ミサイル。ウクライナの電子戦専門家セルヒー・「フラッシュ」・ベスクレストノウが通信アプリ「テレグラム」に投稿した画像より

ロシア軍のシャヘド型ドローン(無人機)の残骸から見つかったR-60短距離空対空ミサイル。ウクライナの電子戦専門家セルヒー・「フラッシュ」・ベスクレストノウが通信アプリ「テレグラム」に投稿した画像より

ロシアはウクライナに対する容赦のないドローン(無人機)攻撃を続けている。11月にもシャヘド型ドローンを合計で5400機あまり発射した。大半(11月は84%前後)は撃墜もしくは阻止されており、それにはヘリコプターで撃ち落とされたものも多く含まれる。だが、ロシア側はヘリコプターなどを迎え撃つため一部のシャヘドにR-60空対空ミサイルを搭載し始めており、ウクライナ側による対処をさらに難しくしようとしている。

ヘリコプターでのドローン迎撃

シャヘドは普通、時速190kmぐらいで巡航し、あらかじめ設定された経路を飛行する。たいていの場合、操縦士による制御は行われず、ドローン自体には状況認識能力がないため、地上からの射撃や空中の脅威を回避する行動をとることはない。したがって、ヘリコプターが近くまで飛んでいって機関銃などで撃ち落とすのは比較的容易だ。

実際、ウクライナ軍のヘリコプターが、機首に搭載した旋回式の機関銃や機関砲で、あるいは同乗する射手によるドア越しのM134ミニガン(ガトリング機関銃)の連射で、ロシア軍のドローンを撃墜する様子を収めた動画はたくさんある。

ウクライナは、電子戦システムや航空機、ミサイル、迎撃ドローン、地上の機動防空部隊からなる入念な多層防空網を敷いている。それによって撃墜・阻止されたドローンの総数はわかっているものの、迎撃手段別の内訳は不明だ。ただ、ウクライナ軍の一部のヘリコプター乗員が非常に多くの撃墜実績をあげていることは知られている。あるMi-24攻撃ヘリコプターは、少なくとも50機の撃墜を示すマークが機体に描かれている。確認はできないが、百機以上を撃墜したというヘリコプターの話も伝えられる。

一方、ロシアはシャヘドの脆弱性を軽減するために、さまざまな対策を講じてきた。機体にカメラやモデムを搭載し、ドローンが迎撃されようとした際に操縦士が回避行動をとれるようにしたのはその一例だ。ロシアはここへきて対策をさらに一歩進め、ドローン弾頭以外の武装をさせ始めた。

R-60ミサイル

ウクライナの有力な電子戦専門家であるセルヒー・「フラッシュ」・ベスクレストノウは12月1日、R-60ミサイルと発射レールを搭載したシャヘドの残骸の画像をソーシャルメディアで共有した。「この組み合わせは、シャヘドを追跡するヘリコプターや戦術航空機を撃破するためのものだ」と解説している。

その後、R-60で武装したシャヘドが撃墜される様子を捉えた動画も公開された。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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