これらの試みはどれも狙いは同じだ。ミサイルで武装したシャヘドは、単独ではヘリコプターにとって大きな脅威ではないかもしれない。しかし、それは相手の計算を変えることになる。ウクライナ側がある程度の数のシャヘドを迎撃していくと、そのなかの1機はミサイルを搭載していることになる。そして、それにまみえるたびに、貴重なヘリコプターを失うリスクが生じるのだ。
これはまさに、ウクライナが無人水上艇(水上ドローン)でやっていることでもある。無人高速艇はロシア側のヘリコプターの機関銃砲による迎撃に脆弱だったため、ウクライナ側は一部の無人艇に地対空ミサイルを搭載することで対抗した。ロシア軍のヘリコプター少なくとも1機が、ウクライナの無人艇から発射された地対空ミサイルで撃墜されている。無人艇の射程内に入るリスクをあえて冒すヘリコプターのパイロットは、勇敢か無謀かのどちらかだろう。
シャヘドのようなドローンや、ウクライナが用いているような水上ドローンの利点は、低コストでの大量生産が可能で、そのため大量に投入して防御側を圧倒したり、消耗させたりできることだ。これらを撃ち落とすためにヘリコプターやジェット機といった高価な装備を投入するのは、現実的な対処法ではないかもしれない。いずれにせよ、パイロットはこの新たな脅威に注意を払う必要が出てくる。とくに、シャヘドが旋回して自機の側に向いてくる場合は要注意だ。
幸い、ウクライナは代替手段を急速に拡大している。シャヘドよりもはるかに安い迎撃ドローンを大量に配備し始めているのだ(ミサイルを搭載したシャヘドを撃墜したのもその一機だった)。ただし、シャヘドのほうも小型銃座の搭載など、迎撃ドローンに対抗する手段を講じる可能性がある。ひとつ確かなのは、ドローン戦は急速に進化しており、対抗策とそれへの対抗策をめぐる戦いは今後も続いていくということだ。


