ドナルド・トランプ大統領は米国時間12月8日、CBSとパラマウントを批判し、スカイダンスによる買収後に同局が「さらに悪化した」と主張した。これは、CBSが放映するテレビ番組『60ミニッツ』で、ジョージア州選出の共和党議員マージョリー・テイラー・グリーンがトランプを批判したことを受けてのことだ。なお、このスカイダンスによる買収はトランプ政権下で承認されている。
トランプ、グリーン酷評のうえ『60ミニッツ』放送を許可したパラマウントを攻撃
トランプはトゥルース・ソーシャルへの投稿で、グリーンが『60ミニッツ』に出演したことについて不満を述べた。このインタビューでグリーンは、自身が2026年1月での辞任を決めた経緯に関連し、繰り返しトランプを批判した。
トランプはこれまでも『60ミニッツ』を批判してきた。元副大統領のカマラ・ハリスが同番組に出演した際には、そのインタビューが誤解を招くものだとしてCBSを提訴し、親会社のパラマウントから1600万ドル(約25億円。1ドル=155円換算)の和解金を受け取っている。
トランプはグリーンを「腐ったリンゴ」にたとえ、「米国大統領に捨てられた」ために「劣化した」と述べた。しかし、今回のインタビューに関する「本当の問題」は「60ミニッツの新しい所有者であるパラマウントが、このような番組を放送することを許したことだ」と続けた。
パラマウントはすでに数年前からCBSを所有していたため、トランプがこの発言で指しているのは、2025年初頭にパラマウントとスカイダンス・メディアの合併により成立した新会社パラマウント・スカイダンスであるとみられる。
買収承認は、トランプへの和解金支払いや約31億円の広告枠の合意後
この買収を認めたのはトランプ政権下の連邦通信委員会(FCC)であるが、この承認プロセスは現在物議を醸している。パラマウントが先に述べた1600万ドル(約25億円)の和解金を支払うことに同意した後に承認が下りたこと、そして、その後にトランプが、パラマウントから「広告、公共広告、あるいは同様の番組枠」という体裁で追加の2000万ドル(約31億円)を受け取るだろうと主張していたことなどが原因だ。
8日、トランプはこの取引に対する姿勢を変え、新しい親会社は「旧所有者と何ら変わらない」と書き込んだ。「彼らが買って以来、『60ミニッツ』は実際さらに悪化した!」とトランプは述べている。
トランプ、別件で進むワーナー買収競争とネットフリックスの動きにも言及
このトランプの発言は、これとは別の大規模な買収案が進む中で出てきたものだ。先日、ネットフリックスはワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収意向を発表し、この入札で競争していたパラマウント・スカイダンスに勝利した。しかし、トランプはこの買収に対し懐疑的であり、7日には「問題になる可能性がある」と述べていた。
8日にはさらに状況が複雑化する。パラマウントがワーナー・ブラザースに全額現金での買収提案を行い、ワーナー・ブラザースの株主に対し、ネットフリックスよりパラマウントを選ぶよう直接働きかけたのだ。今回のトランプによるパラマウント批判が、同社によるワーナー・ブラザースの買収を難しくするのか、あるいはネットフリックスによる買収にトランプがより好意的になるのかは、まだ分からない。



