「自分に厳しい」パターンが生じる理由
他の人には思いやりを示せるのに自分には示せない理由を理解すれば、このサイクルを断ち切れる。この力学の背景には複数の心理・社会的要因が作用していることが多い。
・幼少期の刷り込み
自己犠牲やストイックさ、あるいは「タフさ」を重んじる環境で育った場合、自分を大切にすることは利己的あるいは甘えだと信じるようになる。やがてこの考え方は自動的なものになる。他の人を助けることは自然だが、自分を優先すると罪悪感や不快感を覚えるようになる。
・完璧主義
完璧を求める強い衝動は容赦ない自己批判へと簡単に転じうる。というのも、完璧主義の傾向は通常、失敗への恐れや厳しい自己批判と密接に結びついているからだ。この意味で、自らの過ちが過大に感じられる時、他の人に対して示すのと同じ忍耐や理解を自分に向けるのは難しい。
・恥と脆弱性への恐怖
他の人からあるいは自分によるものにかかわらず、ケアを受け入れることはリスクがあるように感じられる。脆弱性は弱さや脆さの表れと誤解されがちで、このため多くの人が支援を受け入れたりセルフコンパッションを実践したりすることを躊躇する。
だが、こうした傾向は変わらないものではないことを覚えておきたい。望まなければ永遠に繰り返す運命にあるわけではない。なぜなら、スキルや筋肉のようにセルフコンパッションは学んで強化できるものだからだ。


