2. 自分のニーズより他人のニーズを優先する
セルフコンパッションが苦手な人は、自分の感情や身体の健康を犠牲にしても、常に他の人を優先する習慣がある。例えば、他の人は自分の時間やエネルギーを費やすに「値する」と信じているがゆえに、過労になったり自分の境界線を無視したり、あるいは確実に対処できる以上の負担を引き受けたりするかもしれない。
他人を深く気遣う姿勢は確かに称賛に値するが、自分を顧みないと燃え尽きや憤り、強いストレスを生み、そうした姿勢の維持を困難にするだけだ。
セルフコンパッションは、持続可能な基盤を築き他の人を助けられる状態を作る
この意味で、セルフコンパッションは利己的ではない。それは自分の苦しみが他人の苦しみと同様に根拠のあるものでケアに値するものと認める行為であり、心身に優しい行為だ。このように自身のウェルビーイングを優先することは他の人を軽んじているわけではなく、むしろ持続可能な基盤を築き、そこから真に他の人を助けられる状態を作り出す。
3. 他人の過ちは簡単に許せるのに、自分の失敗は引きずる
セルフコンパッションが苦手な人は自分を許そうとしないことが多い。例えば、他人の過ちは軽く流せるのに、自分の失敗は思い返し、どうすれば良かったかばかり考え込んでしまう。この二重基準こそがセルフコンパッションが低い証拠だ。人には許しを差し伸べても、自分にはそれを与えられない。
専門誌『Journal of Happiness Studies』に2020年に掲載された研究が説明するように、これはセルフコンパッションが「共通の人間性」、つまり苦しみは人間の一部だと理解することを受け入れる行為であることに起因する。言い換えると、痛みや喪失、悲嘆、失望、不公平、挫折、不満、そして失敗や過ちさえもが、他の人とのつながりを生む要素であり、恥じるべきものではない。
だが多くの人は自分に対してこのことを忘れがちだ。失敗への過剰な同一化(セルフコンパッションのもう1つの要素)は結果として自分を慰めることを非常に困難にする。
4. 支援や親切を受け入れることが苦手
セルフコンパッションに欠ける人は、他の人のサポートが極めて上手なことが多い。だが他人からの助けや慰め、称賛は断ったり押し返したりしがちだ。その親切に自分は値しないと感じたり、受け取ることに明らかな不快感を覚え、自分1人で問題を乗り越えようとするかもしれない。
この自己ケアや思いやりを受け入れることへの抵抗は往々にして男らしさや個人主義に関連する根深い信念に起因している。「助けを受け入れるのは弱い証拠だ」「自分で処理できるべきだ」などと考える。
だが、専門誌『Mindfulnes』に2022年に掲載された研究では、他の人からの思いやりを受け入れることが、時間をかけてセルフコンパッションを育む助けになることが示されている。つまり、他の人からの支援を感じると自己ケア能力が高まり、結果として苦痛が減少し、成長につながる。


