カルチャー

2025.12.19 11:15

前橋×現代アート JINSがまちづくりで得た想像以上の波及効果

「地域や社会への貢献が直接的に企業の利益に結びつくことはないし、『利益を得るため』と考えて動いてうまくいくことはない。しかし巡り巡って、良い取り組みは会社のレピュテーションをあげ、結果的に経営に寄与しています」

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またアートそのものの力もジンズとしての企業経営にもポジティブな影響を与えていると田中は考える。

「Magnify Life – まだ見ぬ、ひかりを」をビジョンに掲げるジンズは、人々の生き方そのものを豊かに広げ、これまでにない体験へと導くことを目指しており、アーティストが独自の視点で物事を捉え形にする創造的な姿勢と根底で共通している部分があるのだという。それは社内においても、イノベーション精神を醸成し、常識を疑う視点をもたらしている。

アートとともに変わっていく街へ

次世代の経営者に対し、アートに関わることの意義として、田中は「わからないものと接すること」の重要性を強調する。

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「アートは、結局どんなに突き詰めても“よくわからない”ものではある。しかし世の中は、基本的にわからないことばかりです。アートという“わからないもの”と接することによって、わからないことに対するネガティブな意識を払拭することにつながったらいいなと思います」

前橋のまちづくりは、長年の閉鎖的とも言われる地方社会の構造を打ち破り、風通しの良い、若者がチャレンジしやすい土壌を作った。アートレジデンス『まえばしガレリア』には日本を代表するギャラリーが出店し、街中には人気ブランドや20代の若手による新店舗も次々に誕生している。

そして、2026年9月には第一回「前橋国際芸術祭」を開催。以降、2年ごとに開催を予定している。

「毎回アート作品だけが変わるのではなく、街の姿そのものが変わっていく──その変化も楽しめる芸術祭になっていくはずです」

文=青山鼓 写真=福田直記 編集=鈴木奈央

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