チームが正しい道を進むよう促す「ディレクター」の選び方
「ディレクター」の役割を担う人を決めるのは、ごく簡単だ。ミーティングが始まる前に、議論が本筋から外れることを防ぎ、決定が確実に下されるよう促し、妨害行為と思われる状況が顔をのぞかせたらそれを指摘する役割を担う者を決めておけばいい。
「ディレクター」は、以下のような言葉を遠慮なく言える者であるべきだ。「話すべきトピックからそれています」「それは、別のミーティングで話し合うべき事柄です」「これ以上話し合っても新たなメリットはないでしょう。決断を下すべきタイミングです」。
この役割を担う者は、会議出席者で最も声が大きい、あるいは上位の者である必要はない。チームの勢いを保つことができる影響力さえあればいい。
チームにディレクターを迎えると、ミーティングの短縮化や意思決定の明確化といった、目に見える効果がただちに出るはずだ。さらに参加者たちも、足踏み状態ではなく、前に進むことが自分たちのあるべき姿だと学べるはずだ。
チームは、妨害行為のパターンについて、自然に認識し始める。リーダーも、耐久試験のように感じられるミーティングを耐え忍ぶ必要がなくなったことに気づくはずだ。
『サボタージュ・マニュアル』が教える真の教訓
CIAの前身機関による『サボタージュ・マニュアル』の皮肉な点は、これはそもそも敵国の政治体制にひそかにダメージを与えるために作られたものであって、会社生活を描写したものではない、ということだ。
だが、たとえ参加者に裏切り者がいなくても、ミーティングが非生産的になるリスクはある。「このような状態は、私たちの前進を阻んでいる」と指摘する者がいないだけで、ミーティングは簡単に暗礁に乗り上げる。チームがこの役割を引き受ければ、不満が募るだけだったミーティングが、本当の意味で進展を牽引する原動力となる。
素早い決断が必要とされ、複雑さが増すばかりの今日のビジネス環境では、知らず知らずのうちに組織の進展を阻む妨害行為を防ぐ能力は、リーダーが持つべき最も価値あるスキルの1つといっていいだろう。


