世界最大のエレクトロニクスショー「CES」が2026年も1月6日から9日まで、米国ネバダ州ラスベガスで開催される。かつては家電見本市(Consumer Electronics Show)として親しまれてきたが、今ではオートモーティブ、AI、デジタルヘルス、フードテックなどエレクトロニクス産業の境界線を越えた、様々なイノベーションが集まるイベントに進化している。
主催する全米民生技術協会(Consumer Technology Association:CTA)のスポークスパーソンであるブライアン・コミスキー氏に、開催が間近に迫る2026年のCESの見どころを聞いた。
2026年のCESで注目したい「3つの先端領域」
2026年の展望を掘り下げる前に、まずは2025年のCESの実績から振り返ろう。
CTAが公開した成果レポートによると、2025年のイベント総来場者数は14万2465人に達した。そのうち業界関係者(インダストリープロフェッショナル)は8万1621人、メディア関係者は6582人を数え、パンデミック後の完全復活を印象づける記録を更新した。
特筆すべきことは、CESがとても国際色の豊かなイベントであることだ。米国外からの来場者は全体で5万7401人に上り、総数の40.2%を占めた。参加国・地域は158におよび、まさしくグローバルな祭典であることを示している。出展企業数は4500社を超え、Fortune 500企業のトップ305社が参加するなど、ビジネスの創出、あるいは課題解決ためのヒントを得る場所としての強い存在感を放っている。
コミスキー氏は2025年のエレクトロニクス業界におけるテクノロジートレンドを振り返りながら、米国市場を中心に大きな注目を集めた3つキーワードを挙げた。
1つは「インテリジェント・トランスフォーメーション(知的変革)」である。もちろんその中心にあるテクノロジーは「AI」だ。コミスキー氏は「AIが企業、消費者、労働者を急速に変革し、デジタルヘルスやモビリティなど多様なセクターに推進力をもたらしている」と現状を評価する。
2つめは「ロンジェビティ(長寿)」に関連するテクノロジーだ。特定の医療技術やプラットフォームの進化にとどまらず、ヘルスケア、スマートホーム、ウェルネスといった技術が互いにつながり、よりスマートなエコシステムを形づくる。そしてより長く、より健康的な生活を実現しようとする動きも顕著だったことに、大きな意味があるのだとコミスキー氏は強調する。
そして第3のキーワードが「エンジニアリング・トゥモロー(エンジニアリング領域の先端技術)」だ。エネルギー、モビリティ、農業、食品技術などを通じて、人類の主要な課題に向き合うソリューションを生み出す技術に、コミスキー氏は関心を寄せているという。



