コミスキー氏は「CESは常にボーダレスなイノベーションを歓迎してきた」と話す。これまでも出展企業の約40%は何らかのエンタープライズ向け、あるいは産業向けソリューションを展示しており、CESが単なる「コンシューマー向けの家電ショーではない」ということを、コミスキー氏はあらためて強調した。
「量子コンピューティングのように、先進技術はまずエンタープライズや産業分野で始まり、やがて一般のコンシューマが手にとれるデバイスやサービスに形を変えていくものです。近年の事例には先進運転支援システムを搭載するロボタクシーなどがあります」
2026年は、CESの常連企業であったソニーグループがメインホールに出展しない。同社の決定に対して、コミスキー氏は「企業にはその年ごとに優先すべき取り組みがある」と理解を示した。一方、ソニー・ホンダモビリティとして2026年も出展が続くことから、CES全体におけるソニーを含む日本企業のプレゼンスは「引き続き強く衰えないだろう」と、ポジティブな見方を示している。
インタビューの最後に、日本からCESを訪れる来場者へのアドバイスを聞いた。
コミスキー氏がまず最初に挙げたのは、冗談めかしつつも極めて実用的な助言だ。「履き慣れた快適な靴で歩くこと」。広大な会場を数日間歩き回るCESにおいて、極めて大事な下準備であると、筆者も思う。
CESのウェブサイトやモバイルアプリから、事前に情報を収集して、訪れるべき企業のブースを探して、4日間の開催期間内に効率よく成果を得るための計画を立てることも重要だ。
CESでは驚くほどに様々なエレクトロニクスのイノベーションを俯瞰できることから、おそらくは自身の関心分野だけでも多くの体験と知識が得られる。事前の準備をきめ細かく行うことがが、その解像度を左右することになりそうだ。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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