新規事業の失敗原因は、ニーズの読み違え、競合分析の甘さなどがよく指摘されるが、これらは事業を展開してからわかることだ。実際には、企画や開発の段階ですでに失敗が目に見えている場合が多い。
AI開発やUI/UXデザインなどを展開するEngineerforce(エンジニアフォース)は、従業員数500人以上の企業で新規事業開発プロジェクトに携わり、過去3年以内に失敗を経験した111人を対象に「本音調査」を実施した。それによると、失敗の原因の第1位は「社内の関係部門との調整がうまくいかなかった」だった。よく言われる競合分析の甘さと市場ニーズの読み違えは、それぞれ2位と4位。3位は「予算や工数の見積もりが甘かった」という結果が示された。

失敗すると気づいたタイミングを問うと、約30パーセントともっとも多くの人が答えたのが「開発段階で想定と違うことに気づいた」だった。次が「要件定義・設計段階で問題が見えていた」。企画段階で違和感を持ったという9パーセントとあわせると、約33パーセントは開発に入る前に、すでに失敗に気づいていた。開発に入ってから気づいた人をあわせると、じつに過半数の人が早々にわかっていたことになる。それなのにプロジェクトは進んでしまった。

そして、プロジェクトの失敗が明らかになる前に感じたことの第1位は、「予算の消化ペースが想定より早かった」と「外部パートナーとのコミュニケーションがうまくいっていなかった」だった。さらに、仕様変更や手戻りの頻発、進捗の明らかな遅れ、社内の関係部門から協力が得られなかったなど、そもそも計画に無理があったことを暗示するものが並んだ。



