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2025.12.10 11:30

OpenAIのAIデータセンター拡張計画、2026年に「現実の壁」に直面する理由

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年間売上200億ドル(約3.1兆円。1ドル=155円換算)の企業は、1兆4000億ドル(約217兆円)もの設備投資にコミットすることはできない。これは単純な算数の問題である。2026年末までには、市場の圧力により、OpenAIは記録的な規模のAIデータセンター拡張計画の縮小を迫られる可能性が高い。

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OpenAIのサム・アルトマンCEOは、今後8年間で、総額約1兆4000億ドル(約217兆円)規模の投資コミットメントを検討している。その中核となるのが、5000億ドル(約77.5兆円)規模のAIデータセンターネットワーク「Stargate」(スターゲート)のような旗艦プロジェクトだ。その規模は、驚異的で前例がない。同社は、技術が陳腐化し競合他社が追いつく前にどれだけリターンを生めるかという、「採用」と「陳腐化」の競争を事実上戦っている。

市場の調整局面が近づいている。以下では、なぜOpenAIのインフラ野望が2026年には減速に向かうのか、そしてそれがAIブーム全体にどのような意味を持つのかを説明する。

大きすぎて成功し得ない賭け

エヌビディアは、OpenAIに最大1000億ドル(約15.5兆円)を投資し、これらの施設向けに先端プロセッサーを提供すると発表している。エヌビディアのジェンスン・フアンCEOはこれを「史上最大のコンピューティングプロジェクト」と呼び、アルトマンはCNBCに対し、市場の需要を踏まえると「われわれの目標設定は十分に大きくなかった」と語った。こうした桁外れのコミットメントが、テックの歴史でもほとんど例を見ないペースで積み上がっている。

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この自信の大きさは、OpenAIのファンダメンタルズを踏まえると際立っている。同社は2025年末時点で年間売上約200億ドル(約3.1兆円)規模に達しており、スタートアップとしては驚異的な数字である。しかし、1兆4000億ドル(約217兆円)ものインフラ投資コミットメントを正当化できるレベルには到底及ばない。こうした構図は、かつての通信インフラ過剰投資のサイクルでも見られたものだ。計算が合わないのだ。

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翻訳=酒匂寛

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