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2025.12.10 11:30

OpenAIのAIデータセンター拡張計画、2026年に「現実の壁」に直面する理由

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競争の問題:OpenAIは後れを取りつつある

猛烈な拡張を続ける中で、OpenAIは手を広げすぎ、本業で地歩を失うリスクにさらされている。巨大なインフラ計画に加え、同社は著名デザイナーのジョニー・アイブと組んでハードウェアデバイス開発に乗り出し、広告ベースのビジネスモデルも示唆してきた。同社は、もともとの中核であるAIモデルの高度化という焦点から、事業領域を拡散させつつある。

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競争は激化している。OpenAIの旗艦製品であるChatGPTは、競合モデルに後れを取り始めている。グーグルが巻き返しを図る中、OpenAIの経営陣はパニックボタンを押した。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、アルトマンは社内の従業員向けに、「コードレッド」(非常事態)を宣言し、周辺的なプロジェクトを一時停止し、コアとなるチャットボットとその基盤モデルの改善に全リソースを振り向けるよう指示したという。

現状では、OpenAIは自らのハイプの犠牲者になりかねない。投資家が期待するタイムフレームの中で、同社が達成できるとは限らない、極めて高い期待値を自ら設定してしまっているのだ。

市場の忍耐力は限界に近づく

OpenAIの命運は、その支援者たちの忍耐力にかかっている。これまで投資家は、将来的な市場支配を期待しながら、損失やインフラ投資に寛大に資金を投じてきた。しかし、忍耐には限界がある。同社はいまだ収益を黒字化できておらず、HSBCの最近の分析によれば、次の10年に入ってもしばらくは黒字転換できない可能性があるという。

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成長や技術的優位性が鈍れば、資金調達環境は一転して厳しくなるだろう。ブームがピークを過ぎれば、市場は勝者と敗者を素早く選別する。

2026年には、AIデータセンター計画の多くが縮小または延期される可能性が高い。市場は、持続可能な収益、技術的リーダーシップ、そして収益化への道筋という「結果」を求めるようになる。真の勝者となるのは、資本が締まりバブルがしぼむ前に、利益の出る需要を獲得できた企業である。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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