クラシック。それは時代の変化に耐え、長く受け継がれるもの。価値観が揺れ動く時代だからこそ、クラシックな時計が気になる。クラシックと呼ばれるものに、必ずしも歴史は必要ではない。ブランドの哲学を表現し、時計の未来を探求しているものは、次のクラシックとなる価値がある。そんな時計たちを集めてみた。
JAEGER-LECOULTRE|レベルソ・クラシック スモールセコンド
1931年に誕生した「レベルソ」は、直線と曲線を取り入れたアールデコ様式のデザインと反転するケースという独自性で、レクタングル(長方形)ウォッチのアイコンとなった。しかし普遍性のなかにも、小さな進化を加えるのがジャガー・ルクルトの美学。このモデルでは、2024年に誕生した新サイズのケースとミニッツトラックの内側に配した新しいギョーシェ彫り「コインスタック」が特徴。硬質な表現で、クラシックな時計に新しい個性を加える。なお、反転すると現れるケースバックはソリッド式なので、イニシャルなどをエングレービングできる。
ブランドの個性から導き出されるクラシック
VAN CLEEF & ARPELS|レディ アーペル ポン デ ザムルー マティネ ウォッチ
ハイジュエラーらしい表現力を生かし、詩的な世界を表現するポエティック コンプリケーション。その新作は、朝(マティネ)のパリが舞台で、傘を差した女性が時針で、一輪のバラを隠しもつ男性が分針。共にレトログラード機構になっており、男性は60分ごとにソワソワと橋の上を往復し、女性は12時間かけて悠々と男性の元へ、そして12時が近づくと橋の中央でキスをし、また別れる。なお、8時位置のプッシュボタンを操作すると、男女が橋の中央でキスする様子をオンデマンドで表現。愛らしい世界を楽しみたい。
RICHARD MILLE|RM 30-01 オートマティック デクラッチャブル・ローター
先進的な時計のイメージが強いリシャール・ミルだが、実は時計の基本機構を進化させようと考える一面もある。このモデルでは「デクラッチャブル・ローター」を搭載。これは、動力ゼンマイを巻き上げるためのローター(回転錘)の動力伝達に関する機構で、一定量ゼンマイが巻き上がったらクラッチを切ることで、巻き上げ機構などに負荷をかけないようにするもの。基本機構のなかに、進化の可能性を見つける。そんな姿勢を楽しめるリシャール・ミル流のベーシックな時計だ。
AUDEMARS PIGUET|ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー
今年創業150周年を迎えたオーデマ ピゲは、1955年に世界で初めてうるう年表記の付いた永久カレンダーウォッチを製作したことでも知られる。同社ではこの技術を熟成させ、さらに使いやすい時計を目指した。このモデルに搭載した自社製ムーブメントのキャリバー7138は、カレンダー表示の修正をリュウズのみで直感的に操作できるようにしており、この名機をオーデマ ピゲのクラシックモデルである「ロイヤル オーク」に搭載した。ケース厚も9.5mmと薄く、深いブルーのグランドタペストリーダイヤルも美しい。
LOUIS VUITTON|タンブール コンバージェンス
近年、品質と表現力によって、高級時計の世界で存在感を高めているルイ・ヴィトン。美しい時を表現するために生まれた時計「タンブール コンバージェンス」は、異なる速度で回転する二枚の回転ディスクと時計前面に設けた小窓を使って時刻を表示する。クラシカルな懐中時計を思わせる広い時計前面部は美しくポリッシュ仕上げされ、そのラグジュアリーな佇まいに圧倒される。搭載ムーブメントは「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」が製作する自社製ムーブメントのCal.LFT MA01.01。美と技の競演を楽しみたい。
PATEK PHILIPPE|カラトラバ 6196P
1932年に誕生以来、ドレスウォッチのマスターピースとして高く評価されてきたモデル。その最新モデルは、ローズゴールドめっきオパーリンダイヤルによって、どこかヴィンテージな雰囲気を強める一方で、針とインデックスをアントラサイト色にして表情を引き締める。このクラシックとモダンの融合こそが、進化する名門たるパテック フィリップの魅力となる。ちなみに搭載する自社製ムーブメント、キャリバー30-255 PSの心臓部にはシリコン製のパーツが使用され、精度の安定や耐磁化にも力を入れている。



