ビットコイン価格が足踏みする裏側で、米証券取引委員会(SEC)が暗号資産に対する姿勢を大きく転換しつつある。新委員長のポール・アトキンスは、米国の金融市場全体が「早ければ2年で」ビットコインなどを支えるブロックチェーンとトークン化された金融商品に移行すると語り、その流れをブラックロックやトークン化米国債市場の急拡大が後押しする。
SECは来年にも暗号資産向けの「イノベーション免除」を導入し、ゲンスラー前委員長の下での敵対的な規制路線から、技術受容へ舵を切る構えを鮮明にしている。
アトキンスSEC委員長、金融市場が2年以内にブロックチェーンへ移行と予測
ビットコインは今週、勢いを急速に失った。ビットコイン価格は8万ドル(約1200万円。1ドル=155円換算)割れ寸前から10万ドル(約1600万円)付近まで反発していたが、その動きが止まったかたちだ。10月に過去最高値の12万6000ドル(約2000万円)をつけた後、下落基調が続いている。
そんな中、米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は、今後2年以内に米国の金融市場全体がブロックチェーン技術に移行すると予測した。
市場のデジタル化とトークン化は、透明性とリスク管理に巨大な利益をもたらす
アトキンスは、「これは世界が向かう姿であり、10年ではなく、おそらく2年というような短い期間で起きるだろう」とFOXビジネスに語った。
「次のステップは、デジタル資産、そして市場のデジタル化とトークン化に関わるものである」とアトキンスは述べ、これが市場の透明性とリスク管理に「巨大な利益」をもたらすと付け加えた。
ブラックロックのフィンクCEO、トークン化を金融市場の革命として強く支持
トークン化とは、株式などの金融資産をブロックチェーン上のトークンとして取引できるようにする概念であり、これは金融市場に革命をもたらす可能性があるとされてきた。世界最大の資産運用会社であるブラックロックのラリー・フィンクCEOは、2023年以降この技術を強く支持している。
現在のトークン化市場は、1996年のインターネットに相当
フィンクは、「トークン化はインターネットと同じペースで進展する可能性があり、多くの人の予想を上回る速さで、今後数十年にわたり巨大な成長を遂げるだろう」とエコノミスト誌の中で述べ、近年の巨大テック企業が達成した成長速度と同様のペースで市場が拡大し得ると示唆した。
「歴史が何かを示すなら、現在のトークン化は1996年のインターネットにほぼ相当する。当時、アマゾンの書籍販売額はまだ1600万ドル(約25億円)にすぎず、現在『マグニフィセント・セブン』と呼ばれる企業のうち3社は、まだ創業すらしていなかった」。
ビットコインETFの導入は、トークン化革命と金融の民主化に向けた第1歩
フィンクによれば、ブラックロックが2023年にビットコイン上場投資信託(ETF)をウォール街にもたらそうとした取り組みは、ブロックチェーンを基盤としたトークン化革命に向けた最初のステップであり、彼はこれが金融の民主化を進めると考えている。



