北米

2025.12.08 11:00

9月の米PCE物価指数は2.8%でわずかに改善、個人消費支出は2カ月連続で減速

Leon Neal/Getty Images

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米国時間12月5日に公表されたデータによれば、米国の個人消費支出は9月に2カ月連続で減速した一方で、連邦準備制度理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)物価指数は、市場予想通りにわずかに改善した。

商務省経済分析局(BEA)が5日に発表したコアPCE物価指数は9月に2.8%となった。これは前月の上昇率と同じ数字で、ファクトセットがまとめた市場予想とも一致している。

変動の大きい生鮮食品やエネルギーも含んだヘッドラインPCEは2.8%となり、こちらも市場予想と一致した。

FRBが消費者物価指数(CPI)よりもコアPCE物価指数を重視する理由は、米国民がどのようにお金を使うのか、またその消費行動が時間とともにどう変化するのかを、より正確に把握できるためである。

コアPCE物価指数は、FRBの目標値である2%を55カ月連続で上回った。

インフレ調整後の個人消費支出は、8月から9月にかけて横ばいとなり、その前の0.4%増から伸びが止まった。一方で個人所得は0.4%増加した。

今年最後となる連邦公開市場委員会(FOMC)は12月9日と10日に予定されており、3度目の利下げに対する期待が高まっている。CMEのFedWatchツールによれば、金利の誘導目標が3.5%から3.75%のレンジに引き下げられる確率は87%とされている。今回発表された9月分のインフレデータは、政府閉鎖が終わって以降に公表された最新のものであり、10月分と11月分の雇用関連指標などは12月後半に延期されている。米労働統計局は11月、10月分の雇用データは、12月16日発表予定の11月分の報告に一部組み込むかたちで発表するとした。

インフレ率は依然として高水準に留まるものの、それはFRBの主な懸念事項ではなくなりつつある。雇用市場への懸念が続いているためだ。

2025年前半にはレイオフが続いた一方、最近ではその動きが弱まっているようだ。先日発表された新規失業保険申請件数は20万件を下回り、2023年3月以来の低水準となった。また、再就職支援会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによれば、11月の解雇者数は7万1000人となり、10月の15万3000人から減少した。

ただし、2025年における解雇者数の累計は117万人となり、パンデミック期に失業が急増して以来の最高水準となった。また、11月の民間部門の雇用者数は予想以上に冷え込み、3万2000人減となっている。これは、単月の減少数としては2023年3月以来で最大だ。従業員数が50人未満の小規模企業は特に大きな打撃を受け、12万人の雇用喪失を報告した。一方で従業員50人以上の企業は9万件の純増を記録した。

ボストン連銀のスーザン・コリンズ総裁は、FRBは雇用市場が「顕著に悪化している」との「証拠」を認識しており、これにより利下げは正当化されうると述べた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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