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2025.12.08 10:30

OpenAIに遅れをとっていたグーグル、Gemini 3で巻き返しの兆し

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AI以前のインターネット時代に、検索市場を支配してきた企業グーグルは、AIを活用した検索への転換でつまずいていると見られてきた。サム・アルトマン率いるOpenAIが生み出したChatGPTこそが、グーグルの検索バーに取って代わる存在になっていたからだ。しかし今、その状況は一部で変わりつつある。ハイパーリンクをたどって検索する必要のない、特定のチャット体験の中にユーザーを取り込もうとする競争が、新たな局面を迎えているからだ。

2025年と2022年の「コードレッド」(非常事態宣言)

その兆候の1つが、アルトマンがChatGPT内で出している「コードレッド」(非常事態宣言)だ。これまでの成功に安住するのではなく、グーグルのような競合に背後から迫られないよう、チームがさらなる改良に取り組んでいる。

「アルトマンのメモは、AI競争がいかに様変わりしたかを如実に示している」とブレント・D・グリフィスは書いている。「2022年には、ChatGPTの登場を受けてグーグルの経営陣自らが『コードレッド』を出し、その時点でのグーグルが、AIの発展への道を開いた画期的な研究に資金を提供してきたにもかかわらず、AI競争ではどれほど遅れをとっているかをはっきりと浮き彫りにした。それから3年後の今、OpenAIの王座が脅かされているのは明らかだ」。

数字で見る競争

興味深いことに、この競争の行方を見守る人にとって、グーグルが追い上げつつあることを示す明確な指標がいくつかある。まず挙げられるのが、個別アプリのダウンロード数だ。ChatGPTのほうがユーザー基盤は依然として大きいが、Geminiのほうが成長ペースは速い。

1回の訪問あたりの平均利用分数

次にあるのが「1回の訪問あたりの平均利用分数」だ。かつてのウェブにおける「1ページあたりの滞在時間」に相当する、AI版の指標だ。報道によれば、Geminiは約7.2分まで伸びており、ChatGPTは6分だという。OfficeChaiのチームは、この2つの軌跡を次のように説明している

「ChatGPTは2022年末にローンチされるやいなや一大現象となり、史上最速で1億ユーザーに到達した消費者向けアプリとなった。OpenAIの初期の支配的地位は揺るぎないものに見え、プラットフォームは2024年から2025年初頭にかけて高いエンゲージメント指標を維持し、2025年4月には1訪問あたり約7分というピークを記録した。しかし、Geminiの軌跡はまったく異なる物語を描いている。2024年半ばにはエンゲージメントが低迷し、1訪問あたり約5分に落ち込んだ後、グーグルのAIアシスタントは劇的な再浮上を遂げた。今月初めにリリースされたGemini 3 ProモデルとNano Banana Proを含む同プラットフォームの最近の開発は、ユーザーに響いているようで、その機能を探るために費やす時間が増えているように見える」。

もちろん、Nano Banana Proの貢献も大きい。

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翻訳=酒匂寛

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