グーグルの前に立ちはだかった障害
向かい風、すなわちグーグルの巻き返しが遅れた要因として、多くの人がBard(バード)を挙げている。バードは初期のチャットボットだが、人種に関す奇妙なる回答を返したり、たとえば単純なリストを生成することすらできなかったりと、さまざまな形で失敗を重ねて炎上した。
AIについて私が特に好んで参考にしている論者の1人であるイーサン・モリックも、当時バードの欠点についていくらかコメントしていた。
さらに、Wiredのパレシュ・デイブとアリエル・パーデスによる記事もある。「OpenAIの後塵を拝したグーグル“復活”までの2年間の内幕」と題した調査記事で、2人はグーグルが現在の、優位に立っているように見える状況に至るまでの道のりの節目をたどっている。
士気がもっとも落ち込んだ時期には、「社員たちが廊下に集まってグーグルが次なるヤフーになってしまうのではないかと不安を口にするほどの窮地だった」と、2人はBardのローンチを悩ませたさまざまな「空振り」を引き合いに出しながら書いている。しかし、この記事はDeepMindのデミス・ハサビスらも登場させつつ、全体のタイムラインを詳しく掘り下げている。ChatGPTの登場以来、アルファベットの株価が上昇基調にあることに触れつつ、記事は強気なハサビスの次のような言葉を引用している「当社はほかのどの組織よりもはるかに広く深い研究基盤をもっていると言えますから」。
2026年に向けた焦点
2026年のトレンドという観点から見ても、この動きは注視すべきものだ。何かについてもっと知りたいと思えばとにかく「ググる」ものだった時代を呼び戻すかのように、グーグルは支配的地位へと再び上り詰めていくのか。それとも、OpenAIが膨大な顧客基盤を再び自社の陣営へ呼び戻すのか。
論点の1つは、広告
論点の1つは、この新たな領域への広告の侵食に関わるかもしれない。OpenAIがChatGPTに広告を入れ始め、Geminiが広告なしの状態を保つのであれば、それが天秤を傾ける可能性があると示唆する論者もいる。
その他の要因としては、どのチームがより速く動けるかという点がある。内部事情に詳しい人々によれば、経営陣は各チームに対して強くムチを入れているという。
第1四半期に何が起こるのか、見ものだ。


