就職活動の価値観が大きく動いているようだ。「自分が働く姿をどれほど具体的に描けるか」。そんな基準が強まるなかで、学生の人気企業にも変化が生まれている。
株式会社学情が発表した「就職人気企業ランキング」では、いくつかの業種で順位が大きく入れ替わり、従来の常識とは異なる構図が見えはじめた。ここからは文系・理系それぞれのランキングをたどり、Z世代の「企業を選ぶ視点」を読み解いていく。
まずは文理別ランキングTOP10を見てみよう。

文系部門の学生が選んだ1位は「伊藤忠商事」

(文系ランキングTOP50)
文系学生を対象とした「文系人気企業ランキング」では、伊藤忠商事が1位となった。続いて東宝、オリエンタルランド、任天堂、JTBグループ、集英社、講談社、KADOKAWAなど、ジャンルをまたいで娯楽・コンテンツ企業が上位に並んだ。業種別では「マスコミ(新聞・放送・広告・出版・芸能・エンタメ)」がトップ50に15社入り、東宝2位、東映27位、松竹32位と映画関連も順位を上げた。
娯楽関連の躍進は、Z世代が日頃から触れているコンテンツへの親和性の高さが背景にあるとみられる。企画力を求められる領域や、世界観への共感を仕事の動機にしやすい業界が支持されているのだろう。
一方で、かつて文系の花形業界だった銀行や大手広告代理店、テレビ局などが上位に入らなかったことにも注目したい。大手ブランドによる安心感より、自分が活躍するイメージを持てるかどうか。そんな世代の価値観が反映されている。



