Qlay Technologies共同創業者兼COO/CTOの山下徳正氏。
AIコーディングアシスタントは非常に急速に進化し、エンジニアの働き方を根本的に変えています。Claude Code、Cursor、GitHub Copilot、ChatGPTなどのツールが数秒で本番レベルのコードを生成できるようになる中、採用チームは重要な問いに直面しています:エンジニアリング面接でAIツールの使用を許可すべきでしょうか?
MetaやCanvaなどの企業は、AIツールの使用を取り入れるために技術面接を再定義することを提唱していますが、Amazonのような企業は公平な競争環境を確保する必要性を強調し、AIツールの使用を厳しく禁止しています。以前はAIツールの使用を厳しく禁止していたAnthropicは、現在は明確なガイダンスとともにプロセスの一部でAIの使用を許可しています。
したがって、この問いに対する答えは単純な「はい」または「いいえ」ではありません。AIツールの効果的な使用は現代のソフトウェア開発において重要ですが、候補者が自由にそれらを使用することを許可すると、候補者の基本的な技術スキルを評価できなくなるリスクがあります。このバランスを適切に取ることは、AIの現代において技術者を採用する際に極めて重要です。
基本的な技術スキルの重要性
AIは完璧ではなく、AIツールは幻覚や微妙なバグを起こしやすく、エッジケースでは失敗することが多いため、人間による大幅な検証が必要です。
2025年の人間対AIコードを比較した研究では、AI生成コードはより反復的で高リスクの欠陥が多いことが判明し、別の実験では、AIの複数回の自己改善後、重大な脆弱性が37.6%増加したことが示されました。さらに、経験豊富なオープンソースソフトウェア開発者を対象とした最近のランダム化フィールド研究によると、AIツールの使用により、開発者がその出力を検証して修正するために余分な時間を費やす必要があったため、タスク完了までの時間が19%増加したことがわかりました。
したがって、エンジニアが問題が発生した際に実際に修正できるよう、堅固な基本的技術スキルを持つことが不可欠です。
面接でのAIツール許可の課題
技術面接でのAIツールの使用を許可すると、多くの標準的な面接質問が簡単になってしまいます。現代のAIツールは、技術的な概念問題を回答したり、古典的なアルゴリズム問題を数秒でエレガントなコードで解決したりできます。候補者がそのような面接質問に対してAIツールを使用している場合、優れたプロンプトエンジニアは、実際にはそうでなくても、優れた開発者に簡単に見えてしまう可能性があります。
AIツールの使用を許可しながら候補者の実際の開発能力を有意義に評価するためには、単なるプロンプト入力では完成できない大規模なオープンエンドのプロジェクトが必要です。しかし、そのような大規模プロジェクトの準備とレビューには、採用チームから相当な時間と労力が必要です。
バランスの取れた解決策:コアスキルとAI活用能力の個別評価
バランスの取れた解決策は、コア技術スキルとAI活用能力を個別に評価するハイブリッドアプローチでしょう。ペアプログラミングセッション、深掘りの質問(候補者に選択の根拠や、エッジケースの処理方法などを説明してもらう)、候補者がAIツールを使用していないことを確認する監視ツールの使用は、候補者のコア技術スキルを効果的に評価できます。
これらのスキルの評価に成功した後、採用チームは候補者がAIツールを使用できる別の課題や面接セッションを提供できます。このプロセスでは、採用チームは候補者がどのようにプロンプトを作成し、AI出力を検証し、AIが犯すミスを処理し、コードをリファクタリングするかを評価する必要があります。注意すべき重要な警告サインは、候補者がAIツールからの出力を盲目的にコピー&ペーストすることです。
AI時代におけるエンジニアリング人材の評価
AIツールはソフトウェアエンジニアリングの状況を変えており、それに伴いエンジニア採用プロセスも進化しています。AI活用能力は現代のソフトウェア開発において価値がありますが、それはコアエンジニアリングスキルの評価に取って代わるものではなく、補完するものであるべきです。



