リーダーシップの育成は多くの場合、核心となる一つの考えを基本にしている。それは、自らの弱点を特定し、それを改善するため、たゆまぬ努力を続けることだ。
リーダーは、より多才になるよう求められ、あらゆる能力を磨き、あらゆる欠点を改善するよう促される。しかし、数千人の経営幹部と共に働き、数千のチームを研究してきたなかで、異なる現実が一貫して浮かび上がっている。それは、ほとんどのリーダーシップの弱点は、修正されるべき「個人の弱点」にあるのではなく、リーダーをとりまくチームにおいて、いくつかの「役割」が欠けていることだ。
つまり、どのようなリーダーにも盲点はあるが、解決策は必ずしも自己改善ではない。解決策は、チームに欠けている役割を補うことだ。
「完璧なリーダー」になろうと努力するよりも、自分の弱点を補完する役割を集める方が、成功する可能性ははるかに高い。リーダーがすべてに秀でようとする発想から離れ、単独では持ち得ない強みをチーム全体で備える方向へとシフトすることが重要なのだ。
あらゆるチームに必要な5つの役割
「あなたは、チームプレーヤーとしてどのようなタイプか?」という質問を投げかけた結果、最も高い成果を上げるチームには、以下のような5つの役割がバランスよく存在することが明らかになった。
それぞれの役割が、独自の視点と能力をもたらしている──その役割とは、固定された役職ではなく、業界やチーム構造を超えて自然に現れる貢献の在り方だ。それぞれの役割が不可欠な要素をもたらし、一つでも欠けると、予測可能な機能不全を引き起こす。
ディレクター:意思決定者。方向性を示し、困難な問題に立ち向かい、流れを変えるような難しい決断を下す。チームの「頭脳」であり、情報を統合し、進路を定める存在だ。
アチーバー:実行者。仕事に没頭し、細部を扱い、高品質な成果を生み出す。チームの「手」として、計画を、具体的な成果に変える。
スタビライザー:仕組みを作る者。タイムラインを整理し、プロセスを維持し、チームが軌道から外れないようにする。規律、連携、継続を保証する「背骨」の役割を果たす。
ハーモナイザー:人間関係を維持する者。協力を支え、対立を解消し、チームの雰囲気を管理する。チームの「心臓」として、チームが持続的に機能し続けられるようにする。
トレイルブレイザー:革新者。既成概念に挑み、新たな発想をもたらし、限界を押し広げる。チームの「目」であり、チームの視野と想像力を拡大する存在だ。



