筆者が創業したLeadershipIQ(リーダーシップIQ)によるチームに関する最新の調査では、最も効果的なチームの97%が、5つの役割すべてを備えていたのに対し、最も効果的でないチームでは、5つの役割すべてを備えていたのはわずか21%だった。
高パフォーマンス・チームと低パフォーマンス・チームの差が、スキルや知性、経験によることはまれだ。こうした差は、ほぼ例外なく、バランスの悪さが原因となっている。つまり、ディレクターが多すぎる、スタビライザーがいない、あるいはトレイルブレイザー、アチーバー、ハーモナイザーが欠けている、といったことだ。チームが崩壊するのは、個人の能力が足りないからではない。重要な視点が欠けているからなのだ。
これらの役割を理解すれば、一つの真実を避けて通れなくなる。リーダーが失敗するのは、個人の欠陥のためではない。その欠陥を補う相棒がいないためだということだ。
研修では克服できない盲点
リーダーシップ評価、コーチング、360度評価のいずれにおいても、同じパターンが見られる。計画性の弱さ、対立への不安感、実行の困難、革新性の欠如、あるいは対人関係の難しさだ。従来からのアドバイスは「改善すべく取り組め」だ。戦略的計画の講座を受講せよ。難しい会話に関するワークショップに参加せよ。積極的傾聴を実践せよ。イノベーションに関する本を読め。
これらの対策は、リーダーの盲点は、その個人としてのスキル不足だと仮定している。しかし実際には、リーダーの盲点とは多くの場合、チームにすべての役割がそろっていないことだ。そして、どれだけ研修を重ねても、人を根本的に異なるタイプの貢献者へと変えることはできない。
先見性はあるが、計画立案に苦労しているリーダーが、努力だけで几帳面な管理者になることはできない。人間関係を重視し、争いを嫌うタイプのリーダーは、突然意見対立を楽しむようにはならない。アイディエーション(ideation:新しいアイデアを生み出し、深め、具体化するプロセス)を退屈に感じる実行重視タイプのリーダーに対して、制約のないブレインストーミングを愛するように強いることはできない。
リーダーは成長できるが、生まれ持った貢献のスタイルを根本から変えることはできない。
だからこそ、最も効果的なリーダーは違うことをする。自らの盲点を認識し、それを補う役割の人を意図的に集めるのだ。


