米動画配信大手ネットフリックスが5日、米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)のテレビ・映画スタジオや配信事業を、負債を含む総額827億ドル(約12.8兆円。1ドル=155円換算)で買収することで合意したと発表し、業界に激震が走った。ネットフリックスのテッド・サランドス共同最高経営責任者(CEO)は、劇場公開の期間が長すぎると批判するとともに「より消費者に優しい形に進化する」と述べた。
サランドスは5日の投資家向け電話会議で、ワーナー買収後の劇場公開期間は「進化する」と示唆。具体的な長さには言及しなかったものの、「長期にわたる独占公開」は消費者に不親切だと批判した。
サランドスによると、2029年までの公開がすでに決まっているワーナー配給作品は予定通り劇場公開される。一方、ネットフリックス作品の一部は短期間・限定的な劇場公開を継続する可能性があるという。
なお、自身が「劇場公開モデルに反対の立場を取っている」と評されていることについては、当たらないと一蹴。自分が疑義を唱えているのは劇場公開期間が長期にわたる点のみだと言明した。これは、今年4月に劇場公開モデルを「時代遅れ」と評し、反発を招いた一件を指しているとみられる。
また、人気ドラマシリーズ『ホワイト・ロータス / 諸事情だらけのリゾートホテル』や『ユーフォリア/EUPHORIA』、『THE LAST OF US』などを抱えるケーブルテレビ局のHBOと動画配信のHBOマックス(HBO Max)は、独立したサービスとして運営を継続するとした。ただし、共同CEOのグレッグ・ピーターズは「さまざまな方法でコンテンツをパッケージ化する選択肢がたくさんある」と発言している。
HBOとの統合がどのような形になるかは不明だが、ネットフリックスは5日の発表で、HBOとHBOマックスのコンテンツをネットフリックス加入者が視聴できるようになると説明した。同社はワーナーとの協議で、HBOとネットフリックスの「セット売り」が消費者にとってコスト削減になると主張したと報じられている。
WBDはCNN、TNT、ディスカバリーチャンネル、TBSなど人気テレビネットワークを多数擁するが、これらのチャンネルはネットフリックスによる買収前にディスカバリー・グローバルとして分社化され、ネットフリックス傘下には入らない。



