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2025.12.06 11:00

ネットフリックスがワーナーの映画・配信事業を買収、映画館や人気コンテンツへの影響は?

米カリフォルニア州バーバンクにあるワーナー・ブラザース・スタジオを象徴する給水塔。2024年6月18日撮影(Shutterstock.com)

パラマウントは不満表明「プロセスが不公正」

ネットフリックスは5日、WBDを負債込み827億ドル(約12.8兆円)で買収する契約を締結したと発表した。この大規模な買収計画を受け、映画・テレビ業界には衝撃が走った。ネットフリックスは米メディア大手パラマウント・スカイダンスなど競合他社との買収合戦を制したが、報道によればパラマウント側はWBDのデビッド・ザスラフCEOに宛てた書簡で、プロセスが不公正でネットフリックスに有利に働くよう仕組まれていたと不満を表明していた。

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ネットフリックスによると、WBDとの合意では1株当たり27.75ドルで同社を評価。買収完了はディスカバリー・グローバルの分離・独立後の2026年第3四半期を見込んでいる。ただし、この買収契約には米規制当局の承認が必要となる。

「映画興行に対する前例のない脅威」

ネットフリックスによるWBD買収の動きは映画業界に衝撃を与え、映画館への悪影響を懸念する声とともに反発を招いている。国際的な映画興行の業界団体であるシネマ・ユナイテッドは5日、この買収計画を「世界の映画興行事業に対する前例のない脅威」と呼び、「大都市のシネコンから小さな町の独立単館系の映画館にまで」損害が及ぶと訴えた

シネマ・ユナイテッドは、ネットフリックスのビジネスモデルは「劇場公開を支えない」と指摘。ワーナー作品が適切に劇場公開されなければ「米国内の年間興行収入の25%」が消失しかねないとして、規制当局に対して映画館への影響を考慮するよう求めた。

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欧州の映画館経営者団体である国際映画館連合(UNIC)も5日、ネットフリックスとWBDの合意を強く非難。「映画館の閉鎖と業界における雇用喪失」が起こるとし、「ネットフリックスは映画館とそのビジネスモデルを信じていないことを何度も明らかにしてきた」と訴えた。

また、米エンターテイメント業界紙バラエティによると、匿名の業界幹部グループが4日付で米議会に書簡を送り、ネットフリックスがワーナー作品の劇場公開期間を短縮すれば映画館経済は「破壊」されると懸念を表明した。

5日午前の米株式市場では、映画配給会社AMCエンターテイメント・ホールディングス (1.5%減)や映画館運営会社シネマーク・ホールディングス(5.32%減)など、主要映画会社の株価はやや下落した。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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