欧州

2025.12.06 12:00

ロシアのイスカンデル弾道ミサイル、重要な原料を輸入に依存

ウクライナの首都キーウのホロシーウシキー地区で2024年12月20日、ロシアのイスカンデル/KN-23弾道ミサイルの破片が落下した現場で活動する救急隊員ら(Yan Dobronosov/Global Images Ukraine via Getty Images)

それに対して中国はEU市場との結び付きが格段に深い。「中国の化学物質輸出業者に制裁を科せば、外交・経済面で広範な影響を招くリスクがあります。そのため、一部のEU加盟国からはるかに強い反対に遭うことになるでしょう」(ユルチェンコ)

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悲劇的な皮肉

ロシアの全面侵攻以降、アルセロール・ミタル・クリビーリフはウクライナに5億ドル(約780億円)超の税金を納めたほか、人道支援や、ミサイル攻撃の被害を受けた民間人への直接支援、イスカンデルによる攻撃で損傷したインフラの復旧に1800万ドル(約28億円)超を充ててきた。

同社はクリビーリフ経済の屋台骨だ。一方で、クリビーリフは、そのミタル家とつながりのある企業から供給される化学物質を原料に使うミサイルで、ますます頻繁に攻撃を受けるようになっている。

この原料に関して、仮にウズベキスタンと中国の主要なサプライヤーが制裁対象になれば、ロシアは困難な代替手段に頼らざるを得なくなる。より小規模で信頼性の低い第三国サプライヤーからの輸入に切り替えるか、稼働開始は数年後になるが国内生産を加速させるか、あるいはミサイル推進システムの設計を見直すかだ。とはいえ、設計の見直しには広範な試験が必要となり、「(ミサイルの)信頼性も低下し、時間は数年かかる」(ユルチェンコ)。

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ユルチェンコは「もしウズベキスタンと中国の主要なサプライヤーが同時に市場から排除されれば、ロシアはイスカンデル・ミサイルプログラムで、長期にわたって供給の不安定化やコストの上昇、生産の柔軟性の低下に見舞われるでしょう」と話す。

EUの政策当局が実際に制裁の抜け穴をふさぐかどうかは疑問が残る。この抜け穴は、ファミリービジネス帝国が戦争の両当事国側から利益を得られるようにもしている。ミタル家の関連企業はウクライナのインフラを再建するかたわら、そのインフラを破壊するミサイルに使われる化学物質も供給しているのだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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