アート

2025.12.06 15:00

XGやNumber_iのアートワークを手掛けるSora Aota、アナログ画法で新境地を開く

「希望」illustrated by Sora Aota

「希望」illustrated by Sora Aota

Young Thug、Doja CatやXG、Number_iなど国内外のアーティストへのアートワークを手掛け、2022年にはForbes JAPAN 30 UNDER 30にも選出されたグラフィックアーティストのSora Aotaが2025年12月5日から7日まで、東京渋谷のmysha Galleryにて個展「芽」を開催している。

今回は、これまでのデジタルアートではなくアクリル画に挑戦し、新たな表現の世界へと踏み出した。そんな彼に今回の作品展示に込められた思いや、今後の挑戦について聞いた。


植物を模した室内装飾で囲まれた壁の奥に、キービジュアルにも採用されている「希望」と名付けられた作品が掛けられている。彼が創り上げたオリジナルキャラクター「Kenny」が森のような場所に佇む、その作品世界がギャラリー全体にも広がっているようにも感じられる。

「芽」という個展のタイトルには、新たな画法に挑戦し、作品を描いてみたことで感じた成長への予感、その予感から生まれた自らに対する希望が込められているという。

今回、手描きへのチャレンジとして、最初からアクリル画を選んだわけではなかった。

「最初はいろいろ迷いました。でも、油絵は絵の具が乾くまでに時間がかかるらしいということで、自分は描きたいときに没頭して描きたいので、それができるのはどうやらアクリルらしいということで決めました」

そうしてアクリル画の画材を買いに行ったのが2025年6月、そこから半年足らずで今回の個展用の作品を描きあげた。

アナログならではの「偶然」が創作意欲を芽吹かせた

アナログ画法に取り組んでみて感じたのは、デジタルにはない「偶然性」があることだった。その偶然性は、デジタル作品とは異なる魅力をSora Aotaの作品に与えている。

「デジタル作品はみんな、良くも悪くも狙った通りに描くことができる。だけど、アクリルは色も混ぜて作ったり、水の量ひとつでにじみ方が変わったりする。その偶然性はデジタルにはないので、これまでの作品からの変化というか、新しい絵になっていると思います」

最初に描いた『芽』も、毎日10時間近くキャンバスに向かい、約一カ月かけて完成にこぎつけたが、その間には試行錯誤を繰り返し、挫折感も味わった。

「芽」illustrated by Sora Aota
「芽」illustrated by Sora Aota

「『芽』では、ただ腕を赤く塗ろうとしただけでも色むらができたり、塗ったところがハゲ落ちたり、失敗したところを塗り重ねたので(ほかと比べて)少し厚くなっているところもある」

壁にぶつかったときにはYouTubeで描画に関する動画を見て試行錯誤。インドア派を自認するSora AotaはキャンバスとYouTube、アナログとデジタルを往来しながら、自らに適した描き方を追求していったのだ。

次ページ > 手描きへの挑戦を通じて初期衝動を取り戻した

文=尾田健太郎 編集=布施加奈子

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