アート

2025.12.06 15:00

XGやNumber_iのアートワークを手掛けるSora Aota、アナログ画法で新境地を開く

「希望」illustrated by Sora Aota

手描きでは、キャンバスに引いた線ひとつを取っても、完璧に消すことは難しい。ただ、失敗したはずの線の跡が新たなインスピレーションの源となり、作品の方向性をも変えていく。

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「デジタルはポップさを出しやすいので、パキッとした見た目の、かわいい絵を描いていました。アナログは描いているときの自分の手の震えとか、そういう質感、温度感が伝わるように思います」

アクリル画と向き合った時間は、Sora Aotaに何をもたらしたのか。
「初めてアクリル画を描いたときに、本当に描いていて楽しいと思った。うまく描けないことも含めてめちゃくちゃ楽しかった。自分でも気づかないうちに絵を描くことに慣れてしまってたんだなって。だからアクリル画を通じて楽しいから描いているという、初心に帰ったような感じがしています」

自分がなぜ絵を描いているのか。自分を今の立場へと引き上げるきっかけとなったクライアントワークのありがたさは理解しているが、それによって覆い隠されてしまっていたものがあった。

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手描きへの挑戦を通じて初期衝動を取り戻したことは、もしかすると本能が求めた必然だったのかもしれない。これまで通り、デジタルでも、アクリル画でも創作は続けていくが、「とにかく新しいことが好き。ずっと成長していたい」と話す。

Sora Aotaが持つ創造の「種」はひとつではなく、まだまだ地中には芽吹くときを待っている種がたくさんあるのではないか、そんな可能性に触れることができる個展だ。

Sora Aota
Sora Aota

そら・あおた◎福島県出身のグラフィックアーティスト。空想と構築美が交差する独自のアートスタイルは国際的にも高く評価され、若くして世界的アワードでグランプリを受賞。
非現実的なモチーフと緻密な構造美を融合させた作品は、国内外のコレクターやハイブランド、カルチャーシーンから注目を集めている。2025年よりキャンバス作品の制作を開始し、本展が初のアクリル画による個展となる。これまで、GAP JAPAN 30周年記念コラボレーションや、タワーレコード渋谷との共同企画など、ファッション・カルチャー領域を横断したプロジェクトに参加。また、ロック史に残る大作「REDLINE」のキービジュアル制作、Doja Cat × 渡辺直美のコラボ企画におけるグラフィックデザイン、さらに Dr. Martens ART EXHIBITION への参加など、多岐にわたるブランド・アーティストとのコラボレーションを行っている。

「Sora Aota Solo Exhibition『芽』」
会場:mysha Gallery
会期:2025年12月5日(金)〜12月7日(日)

文=尾田健太郎 編集=布施加奈子

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